イノベーションを起こすビジネス開発手法 -Design for all 成迫剛志氏 -第19回八子クラウド座談会レポート(4)

IoTを支える技術について、「これはイノベーションか?」と世に問う記事を見る機会は多い。そもそもイノベーションとは何か?いかにしてイノベーションを起こすのか?ということについて考えたことがある読者は多いのではないだろうか?Design for allの成迫氏は、第19回目の八子クラウド座談会の席上、この問題について述べた。

デジタライゼーションという言葉が文中でてくるが、なじみが薄い人は過去の記事を見てほしい。
クラウドが拓いたデジタライゼーション

成迫氏は、「イノベーションってどうやったら起こせるのだろう?」ということを考えたところ、「デザイン思考」という考え方を通してイノベーションを起こせるのではないか?と考え、デザイン思考について研究しているということだ。

デジタライゼーションがもたらす恩恵は、「スピードが速くなる」「柔軟性」「インテリジェンス」といったことを下敷きにして起きることだと成迫氏は述べる。そもそもイノベーションとは、これまでのことと根本的に違い、その延長線ではないところにあるのだ。

デジタライゼーション

例えば、馬車があったとする。速く移動したいと思った人は、馬を増やして早くしたかもしれない。しかし、これはイノベーションではなく、「進化」だ。一方、自動車が生まれたのは「イノベーション」なのである。

デジタライゼーション

デジタライゼーションでイノベーションを起こす例は、昨今だとUBERがそれに当たる。タクシーを事業者視点で進化させると、燃費を向上させ事業を効率化させたプリウスタクシーであり、顧客視点で進化させると大型のバン型のタクシーだ。一方、イノベーションを果たすととUBERになるのだ。

デザイン思考とは

デザイン思考とは、イノベーションを生み出す力であり、「0→1力」ともいえる。進化とは違い、これまでのモノとは全く違う異なる切り口のこと、新機軸のことなのだ。

デジタライゼーション

デザイン思考の考え方はいろんなものがある。発祥はスタンフォード大学のd.school、シリコンバレーのIDEOなどといわれている。いくつもの考え方があるが、どの考え方でも、デザイン思考には、「調査する」「発想する」「実践する」というフェーズがあるということだ。発散と収束を繰り返しながら、新しい考えを生み出すというアプローチだ。

デジタライゼーション

  • 観察:フィールドワークに代表される、例えば店舗のお客様がどうやって回っているのか、ドリルを買いたい人は何をやりたいのか
  • 発想:アイデアソンやブレインストーミング
  • 試作:プロトタイピング

発散と収束のところでは多くの人でかかわっていった方がうまくいくといわれている。

観察のフェーズ

観察のやり方としては、エスノグラフィーというやり方がある。対象に溶け込んでじっくり観察することで本質的なニーズをつかむというやり方だ。

これは、店舗などでアンケートをとると、平均的でイノベーションの種が生まれてこない。アーリーアダプタやイノベータから芽を得たいという考え方で、スティーブ・ジョブスの「顧客は自分たちが何をほしいか知らない」という名言も例にだして観察の重要性を述べた。

発想のフェーズ

発想では、アイディエーションというやり方がある。

一般的にはブレインストーミングという手法で、会議中ハイになって突拍子もないアイデアを出すようなやり方が提唱されている。突拍子もないアイデアを出していくと、中にブレイクスルーするアイデアがでてくることが多いからこの手法をとるというのだ。

施策のフェーズ

観察、発想によって生まれた多くのアイデアを収束するために、プロトタイピングするというフェーズだ。

ソフトウエア的なプロトタイピングはなるべく工数をかけてやりたくないので、紙やねんどを使ったり、寸劇を行って利用シーンのプロトタイピングを行ったりする。こうやることで、ソフトウエアをプログラムすることなくプロトタイプを行うことができ、有効な方式だと考えているということだ。

現在、こんなことがやりたいときは、こんな手法を使えばよい、というようなウェブサイトとワークショップを行っているということだ。
今後イノベーションを起こしたいと考えたときに、こういう考え方を参考にしてほしいということだ。

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