9月・10月に発表されたMaaSの社会実装構築に向けた3つの実証実験

MaaSとは、Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)の略で、あらゆる交通手段をシームレスにし移動の効率化をはかるとともに、新たな移動の提供をすることで新たなサービスの提供を可能にしていくというものだ。

この取り組みには地域や交通業界、それを支援する企業や団体、またその土地に住む住人や観光客といった様々な人が関わっており、全ての人にメリットがあると同時に全ての人たちが協力していく必要がある。

そのためMaaSという言葉が使われだしてから社会実装がなかなか行われない状態であったが、近頃実証実験を経てその先の社会実装や商用化に向ける動きが見えるようになった。

[toc]

自転車の様々なメリットに着目

高知県宿毛市は、自転車に乗ることでの人々の健康促進や、環境への負荷の低減といったメリットに着目し、2019年3月に「宿毛市自転車を活用した」まちづくり計画を策定した。

現状では市民は自動車に依存しており、市としても交通ルールやマナーの遵守、自転車の走行環境や受入れ体制等に不十分なところもあり、地域が一体となって取組んでいく必要があるのだという。

この計画では、市民が自転車に触れる機会を増やし、ルール・マナーの策定を行う。そして観光客が自転車を利用することにより、地域の魅力に触れられるような取り組みを、行政のみならず市民、事業者とともにおこなっていく方針だ。

[参考記事] NECソリューションイノベータ・オーシャンブルースマート・宿毛市、シェアサイクルを活用した観光振興・地域活性化に向けて連携協定を締結

そしてこの取り組みにシェアサイクルサービス「PiPPA(ピッパ)」を提供しているオーシャンブルースマートと、観光政策に寄与するデータを「PiPPA(ピッパ)」の利用データから分析するNECソリューションイノベーターが参画し連携協定を締結した。

この協定を通じて3者が取り組む内容は、市内5箇所に駐輪ポートを設け、「PiPPA(ピッパ)」を活用しシェアサイクルを利用してもらうことにより、気軽に自転車利用できることによる自転車への移行を促し、利用データの収集・分析を目的としている。

また、高齢化が進む宿毛市では、免許返納者への交通手段の確保も目的としており、高齢者も安全に乗れる三輪自転車をミムゴと提携し、導入するとしている。

この実証実験を通じて単なる移動手段にとどまらない「その先のサービス」の提供を目指しているのだという。

計画の期間は2019年10月18日~2022年10月17日を予定しているが、社会環境の変化や施策の進捗等、状況変化があった場合には、必要に応じて見直すものとしている。

東京でのMaaS実装に向けて

KDDIと他5社、東京臨海副都心エリアでMaaS実証実験を開始

東京都は、MaaSの社会実装に向け、先行的なモデルとなるMaaSの実証実験を行うべく「MaaS社会実装モデル構築に向けた実証実験プロジェクト」の公募を2019年9月に行った。

東京都が事業プロモーターのみずほ情報総研に委託をし、みずほ情報総研がプロジェクト実施者に支援を行い、実証を通じて得られた結果をもとに課題などを抽出し、整理することを目的としたプロジェクトだ。

[参考記事] KDDIと他5社、東京臨海副都心エリアでMaaS実証実験を開始

その公募で採択されたのがナビタイムジャパン、ドコモ・バイクシェア、JapanTaxi、東京臨海高速鉄道、一般社団法人東京臨海副都心まちづくり協議会、KDDIといった各企業団体で、2020年1月より、東京臨海副都心エリアにて、MaaSの実証実験を行う。

この実証実験では、東京臨海副都心エリアにおける交通渋滞の解消や交通不便地域の快適な移動と、観光客の観光スポットへのスムーズな輸送や回遊率の向上という課題に対し、多言語対応の専用MaaSアプリを提供するというものだ。

このMaaSアプリでは、マルチモーダル経路探索エンジンによる、鉄道などの公共交通機関とデマンド型シャトル、シェアサイクルを組み合わせた経路提案がされる他、日本交通によるデマンド型シャトル(無料)の提供、鉄道、シェアサイクルのキャッシュレス決済、おすすめの観光スポットなどの記事や観光施設情報、クーポンの提供などを行うとのことだ。

また、利用者がアプリを使用した際の経路検索条件データやGPSデータなどの移動ビッグデータを集めることにより、課題解決や新たなサービス創出のための分析を行い、MaaS商用化の実現に向かうのだという。

観光地の魅力を伝え、来やすい環境を整える

電通国際情報サービス ・デンソーなど、訪日外国人向け観光型MaaS「くるり奈良」の実証実験を開始

最後にインバウンドに向けたMaaSの実証実験を紹介する。

奈良には、東大寺をはじめとする8つの世界遺産など観光資源が東西にあり、数多くの外国人観光客が訪れているが、短時間滞在が多く、域内消費につながりにくいという課題を抱えいる。

[参考記事] 電通国際情報サービス ・デンソーなど、訪日外国人向け観光型MaaS「くるり奈良」の実証実験を開始

そこで電通国際情報サービス、デンソー、アクティブスケーラ、奈良交通、運輸デジタルビジネス協議会は、訪日外国人向け観光MaaSアプリ「くるり奈良Web」と、国境を超えた交通手段プランニングアプリ「IMRIDE」を用いた実証実験を、2019年10月から12月末まで実施する。

Webアプリ「くるり奈良Web」では、奈良市観光協会が持つ観光情報を配信するとともに、奈良各所のSNS映えする画像をAIが自動配信する機能が搭載されている。また、アンケート登録・収集を行うことで課題抽出と改善を行ってく。

スマートフォン向けアプリ「IMRIDE」では、住所、施設名の入力による奈良市内へのルート探索、「くるり奈良Web」で気に入った画像の場所へのルート探索、海外と日本国内間の航空路線予約・決済、関西国際空港/バスタ新宿と奈良市間の高速バスの予約・決済、奈良市内周遊パスの購入、各種交通のチケット表示(一部路線ではQRコードを用いたバスチケットのもぎり機能有り)が行える。

つまり、感覚的に写真を見て行きたい場所を決め、一次交通と二次交通をシームレスに統合することにより、スムーズな旅行への促しと、奈良での周遊や滞在時間拡大を目指していくというものだ。

なお「IMRIDE」での海外から日本国内間の交通手段検索・予約・決済はシンガポールからスタートして順次アジアの主要都市へのサポート拡大を予定しているとのことだ。

このようにMaaSを実現するため、実際に実証実験を通して実装していこうという動きが見える。ここからデータが集約され、課題や可能性が見えてきた先の動きにも注目していきたい。

Previous

いまさら聞けないインダストリー4.0の基本

ベビーテック、こどもを見守るIoTソリューションと取り組み

Next