Wearable Tech 2015で、Fenox Venture Capital 共同代表パートナー & CEO Anis Uzzaman から、アメリカでのトレンドの話を聞いた。
Anisさんは、主に初期投資とファイナルラウンドを専門とし、インターネット、モバイル、ソーシャル、クラウド及び最新技術分野への投資を行っており、ユニークなモデルとグロ-バルなコネクションを使い、新時代のベンチャーキャピタルを運営。現在、全世界で20億~200億円の8つのファンドを運営しており、直近では2014年11月にバングラデシュで200億円規模のファンドを設立。
投資家であるとともに、東南アジア最大のテックメディア・Tech in Asiaをはじめ、Lark、Kii、DLE、Infoteriaにおいて社外役員を務める。(* Dream link Entertainment (DLE)は、2014年3月に東証マザーズへ上場)
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Iotがある生活は、朝起きて、コーヒーマシンはセルラーをタップすることでできるようになる。
オフィスに着いたとき、洗濯機をつけることに気付いたら、スマートフォンをタップするだけで洗濯機を操作できるようになる。
最寄りのスーパーでも、何を買い足したら良いかわからなくても、冷蔵庫の中に何が入っているかがわかるようになる。
必要な買い物に適したお店や、どのカートを使うかまで案内してくれる。こういったものをIoTと呼ぶのだ。
IoTでは、様々な情報がクラウドに上がることでもっといろんな価値があがる。
Microsoftは、すべてのIoTの開発者にOSを無償で提供した。そのかわり、IoTから得たデータは、Azureというマイクロソフトのサービスにつなげようとしているのだ。
Interは、停電力のマザーボード、ガリレオを開発し、IoTのマーケットに参入した。
Londonの地下鉄では、10億人が利用しているのだが、すべてのトンネルやエスカレータ、エレベータ、セキュリティカメラなどのあらゆるところにセンサーをいれた結果、コストが30%低減されたという。
このシステムは、温度、振動、湿度、システムアラートなど様々な情報をMicrosoft Azureにアップし、分析・活用しているのだ。
スタートアップの例を見てみよう。“EDYN”は、農業分野でのIoTシステムを提供している。湿度、温度、太陽光を感知し、スプリンクラーシステムが動くようになるシステムだ。EDYNは、すべての情報がクラウドにあがることで、どんな種類の植物を育てたいかまでわかるのだ。
2020年には500億個のものモノがインターネットと接続し、$1.9兆のマーケットに成長するといわれている。
すべての産業はIoTを無視することはできなくなるのだ。
私は、この中でも、ヘルスケア、製造現場、小売、農業という領域に注目している。
ヘルスケアの分野は、は2013年から2018年を見ていくと、主に遠隔医療の分野で、$4.4億から$450億の市場に成長した。
Appleでも情報をAppleWatchなどをつかって生体の情報を収集している。最近ではIBMがワトソンというスーパーコンピュータをリリースした。
これは、人間のように考えられる、自然言語の処理ができるようなコンピューターで、アップルのヘルスキットとも連携している。
sense.ly はアメリカの有力スタートアップで、遠隔医療のスタートアップだ。タブレットにアバターである”モリー”が待ち時間の間に、患者のバイタル情報を集めて、医師と話す前に情報収集をしている。これは地方で医師が不足している地域でも活躍できるものだ。
世界初の外科施術をするロボットを紹介した。メディカルロボットDaVinchiは患者の体の内部をみることができ、外科手術ができるのだ。
このロボットは、人の外科手術より10倍精密だということだ。今後はシカゴにいる医師がアフリカの患者を手術することもできるようになる。
ジョンソン&ジョンソンとGoogleが提携してロボットを開発するという動きもあるという。
ロボティクスの市場は、$680億まで成長しているが、その中でも、$90億が、家庭用のロボティクスマーケットとなっている。
MITが、ジーボというロボットを開発した。これは世界初のパーソナルロボットもしくは、ソーシャルロボットと呼ばれるものだ。
これからは、ソーシャルロボットという言葉が注目されると考えている。
ジーボは、顔認識で人を認識したり、勝手に最高の写真をとってくれたり、ハンズフリーで様々な情報に答えるヘルパーだったり、ボイスメッセージを再生してくれたりする。来年になったら一人一台のジーボを持っているのではないかと思ってます。
患者の薬の服用に使うロボットも紹介します。Mabuはアイコンタクトをとりながら、適切なタイミングでの薬の服用を促します。
患者は、話しかけるか、ボタンをタッチすることでお手伝いします。
最後にカバーしたいのはビッグデータの市場だ。
最王手は、Googleで、180の企業を買収してきた。Microsoftの最近の買収を見ているとビッグデータの企業になろうとしている。
IBMは、WATSONという世界初のビッグデータを分析し人間の脳のように考えることのできるコンピュータを作った。
Expect Labsというスタートアップがある。ビッグデータを分析し、人間が10秒後になにをするかを予測できる技術を持っているのだ。
ビッグデータの分野では、様々な顧客データの分析がされる。
アメリカ企業のIoTを見てきたが、日本は、どのようにこの波に乗ればよいのか?それはパートナーシップだ。
コンサルタント、ベンチャーキャピタル、などと提携をすることで、情報を得る、そうすることで、これらの4つの分野で起こっている大きなイノベーションをどのように取り込んでいくかがわかるはずだ。
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500億個ものモノがインターネットに接続するといわれているIoTだが、アメリカでのトレンドは、講演の内容を参考にしてもらうとして、実際問題日本のスタートアップがアメリカ企業と同じレベルでモノづくりをやっていくには、趣味で電子工作をしている人達が、いち早く製品を作る流れの中に入ってほしいと思う。
一方で、単に思い付きだけでは、起業が難しい以上、もっとVCやエンジェルのバックアップが必要であることもいうまでもない。やってみたいと思ったら、失敗を恐れずどんどんモノをうみだしていく環境も必要だと感じた。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。