イーロン・マスク氏によるTwitter買収以前を、ビフォア・イーロンとすれば、大量解雇とさまざまな変革を短期間で行った現状は、アフター・イーロンのTwitterとも言える。
大量解雇などの話題はさておき、サービスとしての変化を見ていくと、これからどういう人がTwtterに取り組むべきかが見えてくる。
Twitter blue
Twitter blueは、利用者が月額980円で課金するサービスだ。
現状課金するとできることとしては、
- 長いツイート: 長さが最大英語で10,000文字のツイート、返信、引用を作成できる
- ツイート編集: 30分以内であればツイートを5回まで編集可能
- 所有しているNFTをプロフィール画像に設定可能(アイコンが6角形になる)
の3つだ。
これらは、Twitter blueを登録しようとした際、Twitterからオファーされる内容だが、実際は他にもメリットがある。
- ツイートのリプライ上優先的に表示される
- 公式マークがつくのでユーザから信頼されやすくなる
- ブックマークに追加したツイートをフォルダ管理可能
- Twitter内のポップアップ表示を青色以外することが可能
- 下部のナビゲーションバー項目をカスタマイズ可能
- 読みたいツイートが自動整理
- 長いスレッドを読みやすい表示に変換できる「リーダー機能」
- 一定時間内でツイートの公開中止
- Webブラウザ版Twitterから、最大60分の長さ、ファイルサイズが2GBまでの動画(1080p)をアップロード可能
- Twitterアプリから、最大10分の動画のアップロード可能
- 一般アカウントで表示される広告料の50%まで削減
- ツイートで「太字」と「イタリック」が利用可能
- 広告配信が可能
2つ目の公式マークに関しては、お金を払えば公式マークがつくことから、逆になりすましの温床になるのではないか、という指摘もある。
こう見てみると、Twitter blueには、かなりの特典が追加されているように見える。
「公式マークがお金で買える」という程度のメリットしかないと思っていた人は、認識のアップデートが必要だ。
サブスク
クリエータがフォロワーに対してサブスクサービスを始めるには、「18歳以上」「フォロワーが500人以上」「過去30日に25回以上ツイートしている」といった条件を満たすと、サブスクサービスを提供可能になる。
2.99ドル(約400円)、4.99ドル(約660円)、9.99ドル(約1330円)の3つの価格帯から月額プランを設定することが可能だ。
クリエイターによる限定ツイートをリツイート・引用リツイートすることが可能だが、非登録ユーザーには引用リツイートの追加コメント部分しか表示されないということだ。
個別記事単位の課金
さらに、4/29イーロンマスク氏は、個別記事に対しても課金が可能になるという発表をした。
一本当たりの記事単価は高くなってしまうが、サブスクに加入するよりは割安になる。現状、日本でのサービスがどうなるかが不明だ。
今後のTwitterをどう活用するか
もともと1万人以上のフォロワーがいるようなアカウントを運営しているクリエーターで、よりフォロワーを集めたい、Twitterで収益化したい、という人にとっては、アフター・イーロンは天国とも言える。
これまで、Twitterでフォロワーを集める一方で、有料記事や長文記事はnoteに書いていた人や、インスタライブ、YouTubeなどを複合的に組み合わせて、フォロワー向けサービスをやってきた配信者にとってみれば、Twitter一本でそれらのことをできるようになるわけだ。
その一方で、すでにInstagramやYouTube、TikTokとTwitter以外のSNSをメインに活動しているクリエーターにとっては、公式マークをつけないと新しい取り組みに参加できないというのは、正直面倒になるだろう。
いつTwitterが破綻するかわからない以上、そこに自分のコンテンツを集約するリスクを感じるクリエーターも多いはずだ。
他にも、長文ツイートに対応できるといっても、読み手からすると「これまで短文でサクッと読めたのに、長いな」といった声も上がってきている。
さらに、ひろゆき氏は、
昨日、Twitter の認証バッジが外れたのですが、今日は付いてました。
無課金ですがTwitter内で方針が錯綜中なのかな。
青バッジが付いてるとフォロワーの青バッジの反応が見られるのですが、知名度のある認証フォロワーの反応というより、課金青バッジフォロワーの反応を見る機能になってます、、。 https://t.co/zplSyAPdXJ— ひろゆき (@hirox246) April 23, 2023
といっており、Twitter blueの青いバッジを持っている人の書き込みが優先された結果、お金をTwitterに払っている人の反応を見ることを強要されるという可能性も示唆している。
ひろゆき氏の意図はわからないが、この投稿をみると、フォロワーとのコミュニケーションが濃い方を優先したいという考え方のクリエーターであれば、違和感を感じるに違いない。
まだまだ改革も道半ばで、いろんな機能追加にトライしていくことになりそうなTwitterだが、なんでも否定的にとらえず、肯定的にとらえた時に、どう使えるのか?を考えた方が旨みがありそうだ。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。