株式会社NTTドコモとファーウェイは、横浜みなとみらい21地区において、第5世代移動体通信(5G)の高信頼低遅延通信(URLLC)に焦点を当てた屋外実証実験を行い、4.5GHz帯で稼動する現在の5G実験装置が、国際電気通信連合無線通信部門(ITU※1)が同ビジョン勧告で定義する高信頼低遅延通信(URLLC)の技術性能要件に合致することを示したと発表した。
4.5GHz帯を用いたマクロセル環境で、3GPP(※2)で規格化が進む5Gネットワーク向け無線インターフェース「5G New Radio(NR)」に近い技術を用いた今回の実験の結果は、URLLCをサポートする大規模なマクロセル展開に加え、さまざまな垂直産業を想定した5G NRの活用に向けての基礎を築くものと期待される。
同実証実験では、0.25ミリ秒の伝送時間を有する無線フレーム構造(上下合計)と送受信ダイバーシティ技術が活用された。これにより、5Gマクロ基地局による1km四方のカバレッジエリアとパケットサイズ100バイトという条件下で、無線区間の遅延を1ミリ秒以下とするとともに、パケット送信成功率99.999%以上を達成した。
4Gにおけるチャネル符号化技術と比較し、Polar符号は同じ信号対ノイズ比(SNR)という条件下のデータ伝送で高い信頼性を実現することができる。今回の実証実験においても高信頼性を確保しつつ、HARQによる自動再送技術を大きく向上させることを示した。
ファーウェイは2014年からNTTドコモと連携し、革新的な5G技術の発展を推進してきた。こうした両社の努力は今後、遠隔制御やタッチインターネット機能(Tactile Internet※3)、産業向けインテリジェンス、拡張現実(AR)などの高信頼・低遅延が求められるアプリケーションシナリオやサービスの創造につながることが期待される。
※1 ITU:「International Telecommunication Union」(国際電気通信連合)の略称。 電気通信に関する国際標準の策定を目的とした組織で、1947年から国連の組織として運営(http://www.itu.int)
※2 3GPP:移動通信システムの国際標準化プロジェクト「Third Generation Partnership Project」の略称。
※3 タッチインターネット機能(Tactile Internet):ネットワークを介した触覚通信
【関連リンク】
・NTTドコモ(NTT docomo)
・ファーウェイ(Huawei/華為技術)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。