モビリティ革命は地域の交通課題をいかに解決するか
経産省と国交省が連携して行う「スマートモビリティチャレンジ」では、地域の交通課題を解決するため、企業と自治体が連携してモビリティサービスのモデル構築を進めている。
こうした地域課題に向けた取り組みについて、akippaの金谷氏はJリーグのサッカークラブと行っているプロジェクトについて紹介した。
「地方にはJリーグのサッカークラブがあり、毎週試合を行う。車で試合を観に行く人が多いため、ひどく渋滞し、地域住民に迷惑がかかっている。あるクラブの事例では、2017年の最終節で駐車場の渋滞が3.5時間だった。そこで、2018年から駐車場の利用(1,400台)をすべてakippaを通じて予約の方式にしたところ、3.5時間の渋滞がゼロになった。駐車場の予約システムが、渋滞を解消する有効な手段になっている」(金谷氏)
JapanTaxiの川鍋氏は、次のように語った。
「地域課題の解決においては、どう頑張ってもビジネスとして成り立たないという現実も残念ながらある。そこで、タクシーと呼ぶのかは別として、人もモノものせるタクシー的なモビリティの手段がカギになる(たとえば、一つの大型のタクシーに複数の配達員が乗りこんで業務を行うなど)。最低のコストで、最大の成果を求める必要がある。大きな構造改革を伴うため、難しい課題だ。ただ、いずれにせよ人が中心の社会づくりが重要。車に相乗りして地域住民の交流が深まるような、ぬくもりのあるモビリティ社会を目指したい」
トヨタコネクティッドの藤原氏は、「最近は、高齢者の運転が問題になっているが、GPSトラッカーを使うことで高齢者の危険運転を防止することができると考えている。たとえば、トラッカーから集まってくるデータをもとに、高齢者の免許返納の基準を定めるという方法がある。これによって、事故を未然に防ぐことができる」と話した。
では、免許を返納した高齢者は、買い物や病院にどうやって行けばいいのだろうか。藤原氏は、「免許は返納しても、車は自宅の駐車場に置いたままにする。その個人宅の駐車場はakippaを使って管理し、シェリングのしくみをつくる。若い人は高齢者を買い物につれていく代わりに収入を得たり、クルマを1日自由に使えたりする。地方の大学生と高齢者を見守る都市。実現できるかはわからないが、そんなアイディアを考えている」と語った。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。