世界のウェアラブル市場、アップルが第4四半期、2017年通年共にトップ:IDC調査

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【概要】
■2017年第4四半期のウェアラブルデバイス世界出荷台数は前年同期比7.7%増の3,795万台
■アップルが第4四半期、2017年通年共にトップ
■2017年第4四半期の国内市場は前年同期比3.8%増。プラス成長は2016年第1四半期以来

IDC Japan 株式会社は、2017年第4四半期(10月~12月)および2017年通年(1月~12月)のウェアラブルデバイスの世界および国内における出荷台数を発表した。

IDCが発行する「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker」のデータに基づくと、2017年第4四半期の世界のウェアラブルデバイス出荷台数は、前年同期比7.7%増の3,795万台となった。

ベーシックウェアラブル(サードパーティー製アプリをインストールできないもの)が前年同期比6.0%減と前四半期からの前年同期比割れが続く一方、Apple WatchやAndroid Wear などを搭載するスマートウェアラブルデバイスが前年同期比46.8%増となり、その結果アップルがXiaomiやFitbitを上回り、本四半期では1位となった。

また、2017年通年での合計出荷台数は1億1,539万台となり前年比10.3%の成長だった。

「2017年の対前年成長率は10.3%だが、これは2016年の同27.3%から著しく低下している」と米国IDCのウェアラブルデバイスチーム リサーチマネージャーのレイモン・リャマス氏は述べている。

これに続けて、「成長率の鈍化は市場に対する関心が薄れてきたためではなく、むしろその逆というべきだろう。古いラインアップに頼っていた数多くのベンダーが市場から撤退した一方で、多くのスタートアップ企業を含む、市場でなおも活動を続けるベンダーはラインアップを新たな製品で置き換えただけではなく、デバイスや機能、そしてサービスを統合した形のウェアラブルデバイスを人々の生活に投入している。この方向がより進むことで、次世代のウェアラブルデバイスは2016年に我々が目にしたデバイスがすっかり時代遅れのものであるように見せてしまうだろう」と述べている。

また、ウェアラブル市場のトップに躍り出たアップルに関し、レイモン・リャマス氏は「スマートウォッチに対する関心は高まり続けており、アップルはその需要を捉えるのに適した立ち位置にいる」と付け加えている。

また、「ここ最近、ユーザーの嗜好はより洗練されてきているが、アップルはこれに応える形で携帯電話接続やマルチメディアストリーミングの機能を訴求した。アップルがこれらのアプローチをどのように続けるのか、また競合がどのようにアップルへのキャッチアップを行うのかが注目される」と述べている。

「個々の製品の価格は徐々に下がっているが、消費者の好みはより洗練されたデバイス、より知名度の高いブランドにシフトしている。これはウェアラブル市場の製品平均単価が2016年以来高い上昇を続けていることからも裏付けられることである」と米国IDC Mobile Device Tracker シニアリサーチアナリストのジテシュ・ウブラニ氏は述べている。

そして「追加のアプリやサービスを販売するという可能性を得ることで、ウェアラブルデバイスの市場はブランドホルダーやサービスプロバイダーにとってますます有利な市場になっていくだろう」と述べている。

IDCは、日本国内のウェアラブルデバイス出荷台数についても公表している。同Trackerの2017年第4四半期データによると、日本国内のウェアラブルデバイス出荷台数は合計で24万2千台となり、前年同期比3.8%増となった。

日本国内での出荷が前年同期比で増加に転じたのは、2016年第1四半期以来のことだ。

「減少が続いていたリストバンド型に代わって腕時計型がウェアラブル市場の主役となる構図が安定すると同時に、リストバンド型も法人向けへの市場開拓が進んだことで、市場は久しぶりのプラスに転じた」とIDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの菅原啓氏はコメントしている。

さらに「ただし、市場の出荷動向は上位数社が握る状況に大きな変化はなく、特に腕時計型で強いブランド力を持つ時計メーカーの積極的参入など、市場の活性化が望まれる」と述べている。

トップ5カンパニーの動向は以下の通りだ。

アップル

アップルはベーシックタイプのウェアラブルデバイスのユーザーがスマートタイプに移行する時宜を上手く捉えたと言える。

Series 3の単体通話機能は、スマートフォンを手元に置く必要がないという利便性だけをとってみても、多くのユーザーに歓迎された。

アップルは今期800万台の出荷を達成することで競合を引き離し、ウェアラブル市場でリーダー的地位を確立することができた。

Fitbit

FitbitはスマートウォッチIonicの幅広い層に対する販売とプロモーションを行うと同時に、Fitbit OSプラットフォームに向けての継続的なアプリの開発を行い、2017年第4四半期も変革を続けた。

これと並行して同社はDexcomやUnited Healthcareとのパートナーシップ、FDAの事前認定プログラムや国立衛生研究所の精密医学研究プログラムへの参加など、医療分野の幅を広げるためにアクセルを踏み込んだ。

フィットネストラッカーの豊富な選択肢を基礎にして、同社は今やデバイスとデジタルヘルスケアに関する好循環を築き上げている。

Xiaomi

Xiaomiは出荷台数がわずかに減少した。依然として出荷の大半は古いモデルのMiBand 2に頼る状況が続いているが、2017年同社はその後継機種としてMiBand HRXとMijia Smart Shoesというスマートシューズを投入している。

その他、子供向け腕時計型デバイスであるMitu Kids Watch 2も発売している。同社は目下ウェアラブルデバイスではトッププレーヤーの一画を維持しているが、その出荷は中国本土向けが約85%を占めている。

Garmin

Garminの出荷台数は前年同期比4.7%増となった。Fitbit同様、同社はフィットネストラッカー製品に大きく依存しており、同社のベーシックウェアラブル製品ブランドの「vivo」は、今四半期100万台以上の出荷を達成した。

この「vivo」ブランドとハイエンドの「fénix」ブランドにより、スマートウェアラブルも100万台を初めて突破し、ベーシックウェアラブルを上回る成長を達成した。

Huawei

Huaweiは最近の第3世代のリストバンドが中国で人気を獲得したことが、同社が国内で第2位のウェアラブルベンダーになることに貢献した。

また、同社の対前年成長率はトップ5の中で最大のものだ。しかし、同社は中国市場にフォーカスしているため、それ以外の市場では出荷が2%減少した。このことはHuaweiがウェアラブルデバイスの世界的なブランドになることの障害要因となっている。

【関連リンク】
IDC

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