IoT製品の本格普及に向けて、データを多数のセンサー端末から収集する方法として、無線通信であるLPWAネットワークが注目を集めている。中でも、ZETAは、超狭帯域による多チャンネル通信、中継器を用いたメッシュネットワークによる広域での分散アクセス、双方向での低費電力通信が可能といった特長を持つ規格である。
これまでのLPWAでは対応が困難だった山間部やトンネル、障害物が多い市街地、地下などの通信が届きづらい環境下でも、電池で駆動する中継器を設置することで、低コストに通信エリアを拡大し、安定した通信を行うことが可能になる。
凸版印刷株式会社は、2018年9月、ZiFiSense Co., Ltd.と、株式会社テクサーとの協業により、ZETA通信モジュールの国内における製造ライセンスを取得し、開発を行ってきた。今回、日本製ZETA通信モジュール「TZM901」シリーズを開発、ZETAアライアンスの会員である十和田エレクトロニクス株式会社と連携し製造ラインにて試作し、量産を開始した。
従来製品と比較して約40%の小型化、および周波数誤差や受信感度などの性能向上を実現し、2017年10月1日の電波法施行規則等の一部を改正する省令で追加された「狭帯域の周波数利用における周波数利用効率の向上を図るための指定周波数帯による規定」に適合した工事設計認証を取得しており、920.6∼928.0MHz(200kHz間隔38波)を2kHzの狭帯域で利用が可能だ。これにより、電波干渉に強く、信頼性の高い通信を実現できる。特長は以下の通り。
- ローパワー双方向通信
- アドホックネットワーク
給電後、自動的にネットワークに接続 - セルフヒーリングネットワーク
接続が切れた後に、ネットワークの再接続を試み、データ通信の信頼性を保つ - ルーティング機能
最適なトポロジーおよび通信スケジュールポリシーを選択し、効率的な通信を実現 - UART接続インターフェース
UART接続により、マイコンを介して一般的なセンサーと接続でき、シンプルな製品開発が可能
また、UARTとI2Cコネクタを搭載し、100種類以上のGroveセンサーモジュールと接続が可能なZETA通信モジュール向けの評価ボードも同時に開発した。同評価ボードは、4×2のピンソケットでStrawberry–Linuxの各種センサーに接続が可能であり、オンボードマイコンによりスタンドアロンで駆動する。今後、ZETA対応のデバイス開発や実証実験、産学連携におけるハッカソンイベント等での活用を目指す。
凸版印刷は、「TZM901」シリーズを自治体向けを含むソーシャルビジネス、物流・流通分野、建築資材分野など、幅広い事業領域に向けて拡販し、ZETAを活用したIoTサービス開発も並行して推進するとした。
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