12月4日に、都内でArmのパートナー向けイベントが開催された。
今回のイベントではパートナー企業の参加は38社にも上り、セキュリティへの関心の高まりを感じた。
冒頭、IoTNEWS代表の小泉より、DXのトレンドと、Pelionの差別化要素について解説した。
そこでは、最近話題になったニュースの中から、ドラッグデリバリーチップと呼ばれる、生体に埋め込むタイプのチップが登場し誤動作する危険性や、画像解析の広まりからくる個人情報漏洩の危険性、「Meltdown」「Spectre」といった、チップそのものの脆弱性問題、スマホがSMSで乗っ取られる「SIM Jacker」、指紋データの管理不行き届きで、指紋画像データの漏洩が指摘され株価が大暴落したHTC、といった様々なチップレベルでのセキュリティの問題を指摘した。
そして、エッジインテリジェンスが話題になる中、そういったチップレベルのセキュリティを担保することが今後必須となり、そこにPelionのような仕組みが必要となるという点を述べた。
さらに、IoTプラットフォームといってもわかりづらいこともあるため、AWSやAzureとの関係などについても解説を行った。(下図)

AWSやAzureが、それほどIoTエンドポイントデバイス側のハードウェアセキュリティに言及にしていないのに対して、Armでは、IoTデバイスのハードウェアセキュリティを担保するためのガイドライン「PSA(Platform Security Architecture)」を提唱するとともに、TrustZoneと呼ぶセキュアな実行環境を用意しており、その利用を推奨している。Mbed OSは、既にPSA準拠の実装となっており、ハードウェアのセキュアな実行環境を用いて、暗号鍵、データ、ソフトウェアロジックを守ることが可能だ。
Pelionデバイス管理サービスは、IoTエンドポイントデバイス内のセキュアな実行環境を利用することで、チップからクラウドまで横断的なセキュリティを実現しており、例えば、HTCで起きたような指紋画像の漏洩といったことが防止できる。
事業会社が訴えるIoTの需要
講演の後、消費財メーカーであるライオンと、スマートメーターを販売する大崎電気工業の2社から、B2B、B2CにおけるIoTの需要について説明された。
今回のイベントでは、パートナー企業が企業に関係なく5グループに分かれ、それぞれを顧客とみなし、チップレベルのセキュリティを考慮した、新しいバリューを生み出すワークショップを行った。

参加者は、90分という短い時間内に、ビジネス的なバリューと、大枠のシステム構造を明確にし、発表しなければならないため、議論は事業会社を巻き込んで大いに盛り上がった。
チームに分かれた検討結果の発表において、ライオン宇野氏は、「とても面白かった。なかなかB2Cのサービスだと、企画は上がっても実現方法を知る人と知り合う機会がなく、どうしても知り合いをたどってしまうことになる。今回でたアイデアも、すごく現在のマーケットに刺さることができそうなので、今後の続きも話していきたい。」と述べた。


さらに、大崎電気工業の鈴木氏は、「色々なアイディアを出していただきとても面白かった。電力データの活用やメーカー視点では気づきにくい点の話もあり今後の参考にしていきたい。」と述べた。
パートナー企業間の活発な議論が新しいビジネスにつながる
今回のイベントに合わせて来日した、ArmのIoTサービスグループでエコシステム開発担当ディレクターを務めるToby Grimshawは、
「日本のパートナーの皆さまが、PelionおよびMbedを深く理解し、利活用の推進を主導してくださっていることを嬉しく思います。今回のイベントをひとつの起点にして、得意分野がそれぞれ異なるパートナーさま同士のコラボレーションがさらに活発化したり、需要家側の事業会社との議論から着想したアイデアが実際のビジネスにつながったりすることを期待しています。Armも引き続き、ビジネス開発、エコシステム開発、パートナー・マーケティングのチームが連携し、皆さまの成功につながる場や機会を提供してまいります。」
と会を締めくくった。
参考:
Arm Pelion
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