GRABCADのユーザー登録数は中国が約5万人、韓国が約4万5千人、北朝鮮が約2000人。それに対し、日本は約1万4千人だ。片山氏は、日本のものづくりの現場で3Dプリンタの活用が遅れている現状を指摘した。
片山氏は講演の最後に、「成功は、99%の失敗に支えられた1%だ」というホンダの創業者である本田宗一郎氏の言葉を引用。「日本のものづくりの現場は失敗をおそれがちだ。しかし、3Dプリンタは失敗して成功するまでつくるツール。ストラタシスはみなさんと一緒にチャレンジし、失敗できるような場をつくっていきたい」と語り、講演を締めくくった。
イノベーションは、”チームづくり”から始まる

最後の登壇者は、株式会社デンソー MaaS開発部長 兼 デジタルイノベーション室長の成迫剛志氏だ。
自動車業界は今、100年に1度の大変革期とも言われている。「CASE」という言葉で表現されるが、「Connected」(コネクティッド)/「Autonomous」(自動運転)/「Sharing」(シェアモビリティ)/「EV」(電気自動車)が実現し、旧来のビジネスモデルが大きく変わろうとしているのだ。
そんな中、Tier1の自動車部品メーカーであるデンソーは、CASEに対応した新たなモビリティ・サービスをつくる基盤としてMaaS(Mobility as a Service)の開発を進めている。
そのMaaS事業を加速させるため、新たなイノベーションを生みだす組織として昨年の4月に誕生したのが、「デジタルイノベーション室」だ。その室長に、これまでシステムエンジニア(SE)、商社マン、外資系ERPベンダーのプリンシパルなどの多彩なキャリアを積み、「ICT幸福論」を唱えてきた成迫氏が就任。チームづくりなどゼロから進めてきた。
「イノベーションには組織づくりが大切だ。デンソーのような大企業では、アイディアがあってもそれが活かされるチャンスは少ない。そこで、社内にシリコンバレー流をつくろうとしてこの1年間取り組んできた」と成迫氏は語った。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。