東京大学大学院情報学環・越塚登研究室、同大学工学系研究科田中謙司研究室は「不在配送ゼロ化AIプロジェクト」で、開発した配送ルーティングエンジンによる東京大学構内での配送試験を行い、98%の配送成功率を得たことを発表した。これは、宅配での不在配送を9割以上削減することに相当し、不在配送に伴う再配送を削減することで、移動距離も5%短縮されることがわかったという。
個人向け配送での「不在配送件数」は全宅配件数のおよそ2割、数千億円のコストに相当し(※)、深刻なドライバー不足と労働生産性の課題を抱える物流産業の悩みとなっている。
「不在配送ゼロ化AIプロジェクト」で開発された新たな「配送ルーティングエンジン」は、各戸に設置されたスマートメーターから取得される電力データをAIが学習し、配送時刻における在宅予測に基づいて、在宅戸から優先的に配送するルートを自動生成するという。配達の順番を決めるというプライバシーに関わる処理は、人ではなくAIが行うため、プライバシーが守られるという。
同成果は国際学会の学術論文としてIEEE COMPSAC 2018及びICSCA2019で採択され、今後は東京大学発ベンチャーの株式会社日本データサイエンス研究所、NextDrive株式会社と共に、自治体での実証実験に取り組む予定であり、同プロジェクトに賛同する物流企業と連携して2022年度中の実用化を目指すとしている。
※「宅配の再配達の発生による社会的損失の試算について」2015年国土交通省より概算
【関連リンク】
・「不在配送ゼロ化AIプロジェクト」
・日本データサイエンス研究所(JDSC)
・ネクストドライブ(NextDrive)
無料メルマガ会員に登録しませんか?
膨大な記事を効率よくチェック!

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。