【概要】
■2017年第2四半期のウェアラブルデバイス世界出荷台数は前年同期比10.3%増の2,630万台
■Xiaomiが僅差で世界トップ
■日本国内出荷台数は前年同期比40.2%減の15万8千台
世界の出荷台数
IDCの調査によると、2017年第2四半期の世界ウェアラブルデバイス出荷台数は、前年同期比10.3%増の2,630万台となった。ベーシックウェアラブル(サードパーティー製アプリをインストールできないもの)が前年同期比0.9%減と初の前年割れを記録する一方、Apple WatchやAndroid Wearなどを搭載するスマートウォッチが前年同期比60.9%増となった。
この結果に対して、米国IDC Mobile Device Trackersのシニアリサーチアナリスト、ジテシュ・ウブラニ氏は、下記の2点に言及。
- これまでは簡素な機能を備えたフィットネス・トラッカーがスマートウォッチの入口としての役割を果たしてきたが、今は多機能なウェアラブルデバイスへの移行が一気に進んでいる。
- 少し前はニッチであったGPSや健康状態トラッキングの機能は、今ではスマートウォッチにとって不可欠な機能となっている。1年前にはGPSを搭載しているのは全ウェアラブルデバイスの24.5%に過ぎなかったものが、今日では41.7%にまで達している。
また、医療業界でウェアラブル製品への関心がコンシューマ市場同様に高まっている。これにより、AppleやFitbitのような企業が、健康状態のトラッキングや病気の診断機能に関する投資を行うことで低コストのライバルとの明確な差別化を図り、これまでの優位性を維持していくのでないかと見解を述べている。
日本の出荷台数
一方、日本国内では、2017年第2四半期のウェアラブルデバイス出荷台数は合計で約15万8千台となり、前年同期比40.2%減となった。タイプ別で見ると、腕時計型が市場の61.5%を占め、時計型が市場を牽引する傾向が続いている。
「アウトドア向けスマートウォッチの新商品が多数投入される下半期を前に、日本国内市場の第2四半期は模様眺めの結果となった」とIDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原啓氏はコメントしている。
また、Apple Watch 3をはじめとする新製品がどの程度市場を活性化させるのかが注目されるが、長期的には多様なユーザー層を発掘する試みが今後の市場拡大には必要であり、特にその鍵となるのは20~40歳台のニーズの掘り起こしと、彼らへの新しい価値の提案だと見解を述べている。

世界トップ5カンパニーの動向
- Xiaomi
低コストの戦略で今四半期も主導権を維持。 成長中の子供用機器の市場にも対応し、Mijiaブランドのスマートシューズを出荷。衣料品/アパレル業界への傾斜を強めるが、本四半期中の靴の出荷は少数にとどまった。 - Apple
成長が市場を上回った。保険業界での実績が着実に増えたことも出荷に貢献。Apple Watch3と最新のWatch OSでは、Siriに代表される多くの機能を搭載することが期待。 - Fitbit
目下移行期にある。ここ最近の出荷減は、同社の広い製品ポートフォリオに対して依然リストバンドに重点を置き続けていることに由来すると分析。 - Garmin
出荷台数は前年同期比6.6%の減少。しかし、収益は伸びている。フィットネス・トラッカーからFénixシリーズに代表されるより高度なスマートウォッチにユーザーを移行できたことも収益増に貢献。ConnectIQプラットフォームに関する研究開発でビジネス領域を健康とフィットネス以外にも拡大予定だという。 - Fossil
初めてトップ5入り。2015年後半に行ったMisfitの買収がようやく実を結んだ。ファッション・ストアと複数のブランドの大規模な流通ネットワークを構築し、新たなオーディエンスをウェアラブル市場に引きつけた。中でもMichael KorsとFossilのスマートウォッチが中心的な役割を果たしたが、ハイブリッドウォッチラインナップも成長を牽引した。
【関連リンク】
・IDC Japan
・シャオミ(Xiaom/小米科技)
・アップル(Apple)
・フィットビット(Fitbit)
・ガーミン(Garmin)
・フォッシル(FOSSIL)
・エプソン(EPSON)
・ソニー(Sony)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。