株式会社INDUSTRIAL-Xは、「企業のDX実現に向けた課題とコロナ前後の意向に関する調査」を実施した。今回の調査は、COVID-19(新型コロナウイルス)の感染拡大に伴う企業のDX推進への影響を明らかにし、企業経営に資するデータを提供することを目的として、5月28日から6月1日にかけて、大手、中堅、中小企業ごとに主任もしくは係長以上の役職に就く社会人を対象に行った。
調査結果
DXに期待する効果
「コスト削減」「リスク回避」「品質・操業改善」をねらっているという回答が上位となった。COVID-19の感染拡大の比較では、「リードタイム短縮」がコロナ後6ポイント上昇。(トップ画像参照)コロナ禍による部品納品の遅れや、物流需要の高まりによる遅配の影響もあり、意識が高まったとINDUSTRIAL-Xは考察している。
DXを推進する上での課題
コロナ禍前後で、企業のDXを推進する上での課題に変化はないが、「ビジネスがコロナ禍前に戻らない」という課題を感じているという回答が14%となった。DX推進における課題の上位は「効果や目的が不明」「目指したい姿が不明」「進め方やアプローチ方法が不明」「人員がいない」となった。課題に大きな変化はないものの、そもそも何のために取り組むのか、何を目指すのかという部分 に課題を感じているようだ、とINDUSTRIAL-Xでは推測している。また、課題解決方法について、約半数が「自社内で課題解決を図っている」と回答。コロナ禍後は「取引先と相談」という回答が増加した。

DX推進上の重要事項
コロナ禍後は「進め方やアプローチ方法が明確になっている」「社員や顧客の健康・衛生管理に配慮できている」の回答が上昇。健康・衛生管理については、金融・保険業、製造業、農林漁業、医療福祉、保険といった、人と人が接触する機会がある産業領域において、「重要だ」と回答した割合が高くなっている。
「データ・セキュリティ対策」については、リモートワークやWeb会議など、データを社外で扱う機会が増えたためか、コロナ禍後は全体の62%が重要と回答した。また、回答者全体の約60%がコロナ前の状態にビジネスが戻らないことを懸念している、という結果が出た。

さらに、経営者、役員クラスの65%以上がコロナ禍以前、以後ともにDX推進において「推進するための予算の確保」が重要と回答。コロナ禍以前から予算が確保できていることは重要視されていたが、コロナ禍以降はその傾向がより強くなっている、とINDUSTRIAL-Xは分析している。

今後必要な検討事項
「リモートでDXを推進できる仕組み」「各拠点の仕事現場の様子をオンラインで一括管理把握できる仕組み」の回答が上位となった。非対面でDXが推進できる仕組みや、遠隔地の設備、人の稼働状況をオンラインで一元把握・管理 できる仕組みなどの需要は今後さらに高まる、とINDUSTRIAL-Xは予想している。
INDUSUTRIAL-X 八子氏による分析

八子氏によると、本調査では、コロナ前後で「DXへの取組意向が変わらない企業」「 コロナ禍後で大きくDXの 必要性を認識した企業」「未だにDX推進の目的や意義を見いだせない企業」の3つの層に分かれはじめていることが垣間見える結果となったのだという。
また、DX推進において「効果や目的」「進め方」「予算の確保」などの項目はコロナ前から引き続き重要と認識されており、「健康・衛生への配慮」を意識する企業も増えていることがわかったということだ。
一方で、DXの本質である、「新たな事業創出」や「デジタルのメリットを活かした オンライン監視・操作」「データによる予測型経営」「自動化による労働力減少への対応、顧客へ の体験価値の向上」などはあまり意識されていないのではないかと考えられる。
そこで、「日本の労働人口の将来や今回のコロナ禍による制約などを考慮すると、総括で言及しているこれらの目的にもさらに目を向ける必要があるのではないか」と八子氏は考える。
今後企業は、ビジネスが元に戻らない「ニューノーマル」な時代になることを前提に、より一層オンラインで完結するデジタルなワークスタイルやバリューチェーンの検討が必要となってくる。
よって、DXシフトが本格化することは、 もはや避けて通れない流れとなる。これはDXが本来目指す、デジタルによるバリューチェーン全体の変革やビジネス モデルの変革がコロナ禍によって前倒しされたとも言える。
「この逆境を千載一遇のチャンスと捉え、DXに邁進する企業 が今後強く生き残っていく企業となるだろう。」と述べた。
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