地銀共同センターの参加行において、これまで営業店は顧客へサービスを届ける最大の接点として重要視されてきた。一方でデジタル化の進展やコロナ禍の影響により顧客接点が多様化するとともに、印鑑や紙を必要としない事務手続きを認める法改正が進んでいるほか、キャッシュレス決済サービスも普及、拡大してきている。
現在、営業店に配置されている金融専用端末(※)は、参加行全体で約1万台にのぼり、またその仕様は参加行の事務規定にあわせて、独自機能が搭載されていることが多く、これまではシステムの共同化が困難とされてきた。また、5~6年ごとに必要となる端末機器交換の費用は参加行にとって負担が大きく、投資に見合う十分な効果が得られにくくなっている。
株式会社NTTデータは、参加行とともに、銀行の営業店に来店する利用者の利便性を追求するため、現金、印鑑、伝票などが減少する将来予測をもとに、営業店のスマート化に向けた最適な機器構成や人員配置の実現を目的とした共同検討を開始し、まずは青森銀行、京都銀行、池田泉州銀行、西日本シティ銀行の4行と検討を始めた。
共同検討では、5年後には金融専用端末を必要とする従来事務を非対面チャネルや汎用端末(パソコンやタブレット)で段階的に置き換えていくこと(デジタルチャネルへのシフト)で従来事務を20%程度に低減し、営業店システムにかかるコストを最大で5割削減することをめざすとしている。
各参加行が持つ営業店の地域特性や顧客特性により、参加行が望むチャネルシフトのスピードや力点に差異はあるが、行内の事務処理にかけているシステムコストや人件費を削減し、顧客サービスを充実させたいという目標は共通している。
NTTデータは参加行のチャネルシフトの動向から将来のニーズを見極め、共同利用システムを提供することにより端末などの機器コストや行内の事務処理コストを低減し、参加行の顧客サービスの充実とスマートな営業店機能の実現を支援する。
今後NTTデータは、4行との検討結果をもとに取り組み範囲を地銀共同センター参加行(13行)に拡大する。営業店システムのコストを最大で5割削減することを目標に共同化の検討を進め、2022年度をめどに共同化した営業店システムの利用開始を目指すとしている。
※ 金融専用端末:銀行窓口取引のための端末および現金機等のハードウエアとそれらを制御する取引ソフトウエア。基幹系システムや各種サブシステムと連携し入出金、振込、融資等を実行する。
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