掘削を伴う埋設管の敷設工事では、安全対策のため施工予定地における既設埋設物情報の収集が行われ、その情報は通常、複数の事業者により個別に管理されている。そのため、情報収集に多大な時間を要するとともに、実際の配管の位置が図面と異なるケースもあることから、重大な損傷事故や工期遅延につながるといった課題があった。
そうした中、株式会社日立製作所と応用地質株式会社は、応用地質の地中レーダー探査装置・ノウハウと、日立のLumadaのAI・画像解析技術を組み合わせ、両社で共同開発した「地中可視化サービス」を展開している。
「地中可視化サービス」は、地中のガス管や水道管といった埋設物に関する位置や寸法などを高精度に可視化・一元管理し、地下掘削工事などで必要となる埋設物情報を提供する。
そして本日、両社は、「地中可視化サービス」を強化し、クラウドを活用した新たなオンデマンドサービスを12月8日より提供開始することを発表した。
今回の強化では、自治体・鉄鋼業など、全国18事業体の協力のもと、合計240kmの地下レーダー探査を通じた評価検証と改良を行い、解析技術の精度向上を実現したほか、SaaS化して必要な時に必要な場所の埋設物情報を提供可能にしている。

具体的には、レーダー探査で取得した画像から、AI解析技術により、埋設管・地中構造物・地層境界などの情報を判別。レーダーの反応強度は土質の状態により異なるため、様々な場所や条件下での検証を重ねて精度向上している。
また、SaaS化したことにより、Webブラウザ上で2次元および3次元で地下埋設物が表示され、埋設管の深度や、地上構造物からの相対距離、埋設管同士の距離など、敷設状況の閲覧が可能となる。さらに、既に埋設物情報がSaaS型プラットフォーム上に整備されている場所については、参照権を購入することで、埋設管情報をすぐに閲覧することができる。
これにより、広範な管路新設や更新時の計画・設計・施工の効率化、埋設管の損傷事故や工期遅延の発生リスクの低減などが期待されている。
今後は、地下埋設物情報を建設機械と連携することにより、建設機械のMG(Machine Guidance)による事故の未然防止や、一定深度までの掘削を自動化するMC(Machine Control)による掘削の効率化、埋設管敷設ルート候補の自動リコメンドなどへの応用も検討していく、としている。
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