特集「DX KEYWORD TEST」では、DXで必須となるキーワードに関するテストを実施。
さらに、4枚の図を使って、サクッと解説します。今回のキーワードは「DX」。全問正解目指してがんばってください!
解説編
ここからは、DX KEYWORD TESTの設問を図解していきます。
全部読んだら、再度問題にチャレンジしましょう!
DXって、なんて読む?

それでは、早速、解説していきますね!
最近、DXという言葉を耳にするようになりました。
何も予備知識がない状態だと、うっかり「デラックス」と読んでしまいそうですが、DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略です。
デジタルトランスフォーメーションは英語にすると、Digital Transformationなので、略称は「DT」ではないか?と思いますよね。
実は、英語圏では「Trans」の略に「X」を用いる慣習があります。
Transには「〜を交差する」という意味があることから、文字そのものが「交差」しているXが使われています。
DXとデジタル活用は何が違う?

DXは、デジタルトランスフォーメーションと呼ぶことが分かりましたが、いったい、どんな意味なのでしょうか。
混同されやすいデジタル活用とDXの違いを考えてみることで、理解しやすくなると思われます。
まず結論から言ってしまえば、デジタル活用というのは、今のビジネスの延長線上で可能な限りの効率化を行うという改善活動です。
一方で、DXは、デジタル技術を前提にして、組織やビジネスモデルを変革し、競争優位性を築き、結果として業績を向上させていくという意味で使われます。
これだけ聞いて、「なるほど、わかった」となる人はあまりいないと思われますので、タクシー事業を例に、デジタル活用されている場合と、DXされている場合を考えてみましょう。
タクシー事業のDXで見る、デジタル活用とDXの違い
まず、そもそもデジタル活用すらされていない状態のタクシー事業を思い出してみましょう。
以前は、タクシーを配車しようとすると電話をするか、通りを走るタクシーを止めるしかありませんでしたよね。
そしてタクシーに乗り込んだら、具体的な行き先を運転手に伝える必要があります。
行き先を説明できたら、車は走りだし、目的地に到着した際に、現金かクレジットカードでお会計をしていました。
しかし、これだとタクシーをつかまえるために電話したり、わざわざ大通りに出たりしなければいけませんし、行き先地を運転手の方に説明するのも、結構わずらわしかったりします。また、現金やクレジットカードによる決済も、急いでいるときは、ストレスです。
そこで、まずはお会計のところを改善しましょうということで、交通系電子マネーやQRコード決済で支払いできるようにする、というのはデジタル活用になります。
ユーザーからすると決済手段が増えることで利便性は上がるものの、タクシーというビジネス全体を見渡した時に、お会計という一部のシーンだけが効率化されているに過ぎません。あくまでも現在のビジネスの延長戦で出来る改善をしているにとどまります。
今度は、タクシー事業がDXされている例を紹介しますね!
Uber(ウーバー)というスマホで車両の配車から乗車、決済までを行うサービスを御存じでしょうか。
Uber(ウーバー)のユーザーは、GPSの位置情報を利用し、自分の現在地にもっとも近い車をワンタッチで配車することができます。

また、ユーザーは、配車の依頼をする段階で、目的地を入力しているため、乗車したあとで目的地を説明する必要がありませんし、アプリに登録してあるクレジットカードから決済が可能であるため、到着後の金銭のやりとりもありません。
さらに、注目したいのは、Uber(ウーバー)は個人の自動車も登録することができるという点です。自動車を持っている人が誰でも個人タクシーを始めることができ、ちょっとしたお小遣い稼ぎをすることができるのです。
とはいえ、個人の自動車に乗せて貰うのは、いろいろと心配がありますよね。たとえば、ぼったくりに合うのではないか、マナーが悪いのではないか、など。
しかし、支払いはアプリを経由することになっていますので、法外な金額を要求されることはありませんし、マナーが悪いと利用者からアプリで低評価をつけられてしまうため、ドライバーは節度を持って利用者に接する必要があります。
さらに、Uber(ウーバー)自体は自分たちでタクシーという資産を購入しているわけでも、タクシードライバーを雇用しているわけでもありません。あくまでも、提供しているのは、プラットフォームです。
そのため、それまでのタクシー会社と比較すると、固定費などはかなり少なく済んでいるわけです。
ここまでくると、もともとのタクシー事業のビジネスモデルは姿かたちを変えて、新たなビジネスモデルに作り替えられていることが分かります。
ユーザーからすると、お会計の部分はもちろん、配車、乗車、降車といった全てのシーンで利便性を感じることができますし、運営している企業も少ない資産で経営することができるため、他のタクシー事業者からすると、圧倒的に競争力があると言えます。
デジタル活用とDXの違いがわかりましたか?
なぜ、DXに取り組むのか?

DXに取り組む理由はなんでしょうか。人手が不足しているため、生産性を向上させるため、働き方を改革するため、色々な理由が挙がりそうですが、こういった理由であるならば、デジタル活用でよいと思われます。
新しいビジネスモデルなんて、作らなくても、今の事業で儲かっているなら無理にやらなくても良いと思いますよね。。。
DXに取り組む理由は、ディスラプターの出現と台頭にあると考えられます。ディスラプターとは、デジタル技術を用いて、既存のビジネスモデルを破壊・再構築してきた新興勢力のことで、アマゾンやネットフリックスなどです。
このディスラプターといわれる新興勢力は、既存のプレイヤーの地位を脅かす存在です。
実際、アマゾンなどのEC事業者によって、玩具小売大手のトイざらスが経営破綻に追い込まれたり、ネットフリックスによって、アメリカ全土で一世を風靡したレンタルビデオチェーンのブロックバスターが倒産したり、ディスラプターによって既存のプレイヤーの地位が脅かされる出来事が起きています。
このようなディスラプターに対抗するためには、既存のプレイヤーもデジタル技術を用いて、自らのビジネス全体を再構成する必要がある、ということになります。
言い換えれば、DXとは既存のプレイヤーが、ディスラプターの出現によって、競争優位性を失わないために、生き残りをかけて実践しておくべき対抗措置とも言えるのではないでしょうか。
DX事例紹介、「ネットフリックス」

「デジタル技術を前提に組織やビジネスモデルを変革し、競争優位性を築き、結果として業績を改善していく」ことができているネットフリックスの事例を紹介します。
ネットフリックスは創業当時から動画配信サービスを始めていたわけではありません。創業当時は、宅配型DVDレンタルの会社でしたが、とあるタイミングから動画配信サービスに移行していきます。
とあるタイミングというのは、どんなタイミングでしょうか。
それは、動画といった大容量のデータを転送するための高速回線と、動画をスムーズに再生することのできるデバイス(スマートフォンなど)が登場したタイミングです。
どちらかが欠けてしまうと、動画がカクカク再生され声や音が止まったり飛んだり、再生はされているけれども画質が悪くて人物や背景がぼやけてしまいますよね。
ネットフリックスは、このような回線の高速化と動画再生デバイスの進化という技術が、自らのビジネスに与える影響を考えて、適切なタイミングでビジネスを変革してきたことが成功の要因と言えるのではないでしょうか。
前述した通り、デジタル技術を導入しさえすれば、DXかというと、そうではありません。
デジタル技術を前提にビジネスモデルを再構成した後でも、生み出される価値が競合他社との差別化につながっていなければ、その先の業績向上にはつながってきません。
つまりデジタル技術を導入した結果、それが顧客にとってどのような価値を創出することに繋がるのか、が描かれていないといけません。
では、動画配信サービスが、顧客にとって、どのような価値を創出しているのでしょうか。
従来の動画の視聴体験というのは、とある作品を視聴したいと思ってから、実際に作品を視聴するまでにタイムラグが存在していました。たとえば、レンタルビデオ屋へ行って、目当ての作品がなければ、取り寄せてもらわなければいけなかったり、別の店舗に足を運ぶというようなことも、昔はありました。
しかし、動画配信サービスでは、ネット回線と再生するデバイスさえあれば、観たい時に観ることができます。
これまで、作品を視聴するタイミングは、供給者の都合に左右されていたわけですが、それが視聴者の都合に合わせられるようになったのは、大きな変化です。
さらに付け加えると、ネットフリックスは、オリジナル・コンテンツの配給にあたり、ビッグデータを活用しています。
従来は監督やプロデューサーの勘によって、どんなコンテンツを制作するのかを決めていましたが、ビッグデータを活用すると、視聴者がどんな作品を見たがっているのか、どんな出演者をキャスティングするべきなのかということが、客観的にわかります。
その結果、会員に寄り添ったコンテンツの配給が可能になるのと同時に、経営の視点でも、事前に投資対効果をある程度予測することができますので、一か八かの賭けに出る必要がなくなります。
こうしたデータをもとにした制作プロセスの変革もDXといえるでしょう。
さて、ネットフリックスを例にDXを解説してきました。
同社のようにデジタル技術の動向を把握しつつ、それを自社のビジネスにどう取り込んでいくのかということをイメージすることがDXの第一歩ではないでしょうか。
みなさんも、デジタル技術の動向についてアンテナを高くして、日々情報収集活動に努めることが重要です。
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現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。特にロジスティクスに興味あり。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。