シスコは、同社が提供するクラウドベースの顧客対応プラットフォーム群「Webex Customer Experience」の強化を発表した。
今回の発表では、AIを活用したスーパーバイザー向けの品質管理ツールをはじめ、コンタクトセンター業務の効率化と顧客体験の向上を目的とした複数の新機能が紹介されている。
一つ目は、スーパーバイザー向けの新機能「Webex AI Quality Management」だ。
「Webex AI Quality Management」は、スーパーバイザーがエージェントのパフォーマンスをAIによって分析・評価・コーチングできるツールだ。
従来は通話品質や対応内容を別々のシステムで確認する必要があったが、同機能では単一の統合プラットフォーム上でチーム全体の状況を可視化し、改善施策を一元的に管理できる。
この仕組みにより、AIが自動的に人間のエージェントのスコアリングや改善点を提示し、スーパーバイザーはリアルタイムでコーチングを行うことが可能になる。
なお、この機能は、シスコが提供するクラウド型コンタクトセンタープラットフォーム「Webex Contact Center」に標準搭載されている。
同機能は2026年第1四半期に一般提供が開始される予定だ。
また、シスコはすでに、AIエージェント「Webex AI Agent」とAIアシスタント「Cisco AI Assistant for Contact Center」を、クラウドおよびオンプレミスで利用中の顧客向けに提供を開始している。
「Webex AI Agent」は、顧客の問い合わせを自動的に理解し、必要に応じてツールやシステム、担当者にアクセスして問題を解決する「自律型セルフサービス」を実現する。
これらのAIエージェントは、AIエージェント開発・管理ツール「AI Agent Studio」を通じて一元的に構築・管理・最適化でき、運用の柔軟性と可視性を高めることができる。
さらに、2026年第1四半期には業界標準プロトコル「agent-to-agent(A2A)」および「Model Context Protocol(MCP)」に対応し、複数のAIエージェントやサードパーティ製アプリケーションとの連携が可能になる予定だ。
一方、「Cisco AI Assistant for Contact Center」は、2025年初めにすでに一般提供が開始されている、コンタクトセンタのオペレータや管理者を支援するAI機能だ。
今回の発表では、新たな機能として「回答の提案」「リアルタイムの書き起こし」「通話中および通話終了後の要約」などを年末までに追加することが明らかにされた。
今後「Webex AI Agent」と「Cisco AI Assistant for Contact Center」は、2025年第4四半期に50言語以上に対応するベータ版の提供が予定されている。
導入企業ではすでに効果が見られており、CarShield社ではAIによる自動対応により、人の介入なしで66%の通話を処理できるようになり、クレーム対応時間を90%短縮したという。
また、BancFirstでは、「Webex Contact Center」のAIベースの通話分析機能により、通話の分類を分析することで、顧客の問い合わせ内容とそれに対する対応を把握できるようになった。
さらにシスコは、他社ソリューションとの連携強化にも注力している。
具体的には、「Webex Contact Center」を「Salesforce CRM」との連携や、会話型AIインターフェイスを構築できる「Amazon Lex」の統合、Epicの電子健康記録(EHR)ソフトウェアとの連携が挙げられている。
加えてシスコは、Webexのグローバル展開も加速させるのだという。
具体的には、2026年第2四半期には、インド・ムンバイおよびチェンナイに専用データセンタを設立し、クラウド電話サービス「Webex Calling」の拡張および「Web Contact Center」を現地向けに提供する予定だ。
さらに、サウジアラビアでも「Webex Contact Center」の提供を拡大する計画が進められているとのことだ。
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