IDC Japan株式会社は、「セキュリティソフトウェア市場」「セキュリティアプライアンス市場」「セキュリティサービス市場」に分類した、最新の国内情報セキュリティ市場予測を発表した。
2021年の情報セキュリティ製品市場(「セキュリティソフトウェア市場」と「セキュリティアプライアンス市場」を合算した市場)は、前年比16.0%増の4,360億1,500万円になったとIDCは推定している。
2020年初頭からデジタル空間上とリアルでの商取引や、コミュニケーションのハイブリッド化が加速し、企業従業員や消費者が利用するエンドポイントデバイスへのフィッシングやマルウェア感染、企業システムへのセキュリティ侵害、IDの不正利用などのセキュリティリスクが高まり、現実に2021年は数多くのセキュリティインシデントが報告された。
また、オリンピックやロシア・ウクライナ戦争といった様々な外部要因などによって、同市場では企業および消費者の両面で、セキュリティに対する警戒感が高まり、エンドポイントセキュリティやアイデンティティ・デジタルトラスト、ネットワークセキュリティへのニーズが急速に高まった。
さらに、政府によるデジタル化推進や改正個人情報保護法、欧州GDPR、中国個人情報保護法の施行など、デジタル情報に対するプライバシー保護規制が国内外で強化されており、情報ガバナンス・コンプライアンス対応への機運も高まっている。
この結果、2021年の国内セキュリティソフトウェア市場は、前年比17.2%増の3,703億5,000万円(売上額ベース)になったとIDCでは推定。
同市場は、セキュアなアクセスコントロールに対するアイデンティティ・デジタルトラストや、高度サイバー攻撃に対するエンドポイントセキュリティ、クラウドサービスへのセキュリティに対する需要が堅調に増加し、2021年~2026年における年間平均成長率は4.6%、2026年には4,637億3,900万円に拡大すると予測している。
また、2021年の国内セキュリティアプライアンス市場は、前年比9.5%増、656億6,600万円(売上額ベース)になったとIDCでは推定。
2021年の同市場は、VPN機器の成長が減速したものの、「Emotet」の活動再開による電子メールを経由したセキュリティ被害が、2021年後半に再拡大しており、メッセージングセキュリティを含むコンテンツセキュリティ関連市場への需要が拡大した。
このため、2021年の同市場は堅調に成長したが、セキュリティ投資はオンプレミスからクラウド環境へのセキュリティ対策に向けられると考えられ、国内セキュリティアプライアンス市場の2021年~2026年におけるCAGRは0.7%で、2026年には680億600万円になると予測している。
一方、セキュリティサービス市場は、国内外の大規模イベントを狙ったサイバー攻撃によるセキュリティ被害が拡大したことによって、マネージドセキュリティサービス、教育・トレーニングサービスを中心に需要が拡大した。
特に、リモートワーク・在宅勤務の増加により、クライアントPCやデバイスなどのエンドポイントデバイスに対するセキュリティ監視を行うマネージドセキュリティサービスや、MDR(Managed Detection and Response)サービスの需要が拡大した。
この結果、2021年の同市場は、前年比6.9%増の2,963億2,500万円(支出額ベース)になったと推定。
同市場は、クラウド環境に対するセキュリティコンサルティングサービスやセキュリティシステム運用管理サービスへの需要が高まるとIDCはみており、2021年~2026年のCAGRは3.1%で推移し、2026年には3,445億9,800万円に拡大すると予測している。
IDC Japan株式会社 グループディレクターの眞鍋敬氏は、「市場のデジタルシフトによって、ビジネスおよび消費者から発生するデータが増大している。企業はデータオリエンテッドな経営を進めているが、一方でデータセキュリティ、データガバナンスの確保はサステナビリティと共に企業の社会的責任になりつつある。
ITサプライヤーはユーザー企業に対して、企業のデジタルトラストをセキュリティ観点から見直す訴求を行い、企業内のセキュリティワークフローに、機械学習による侵害検知などの、新たなテクノロジーの適用を推進することが重要なトレンドとなる」と述べている。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。