夏の海の家が並ぶ江の島東浜に、UXコンサルティングやシステムインテグレーションサービスから、飲食店向けPOS等も提供するセカンドファクトリーがプロデュースする海の家、「Sky Dream Shonan beach Lounge」がある。
ここでは、様々なIoT企業と共創したサービスが展示・活用されているのだ。

その中でも、目を引いたのが、アクアビットスパイラルズ社の「ググらせない」スマートプレートと、米国でPaypalと人気を二分するStripe、セカンドファクトリーのQOOpaの連携だ。
あらかじめ、POSシステムに個人のクレジットカードを登録しておく、NFCに対応したICチップが搭載されているスマートプレートにアンドロイド端末をかざすと、海の家のメニューが表示される。
そこで、注文をすると、あらかじめ登録されているクレジットカードから決済され、注文が厨房に連絡される。
そして、料理が出来上がるとメッセージがスマートフォンに飛んできて、利用者は厨房に取りに行けばよいという流れが実現されているのだ。
これだけ聞くと、POSシステムに決済システムを連携させておいて、その注文システムのURLをNFCからブラウザ起動させればできるのではないかと思う人も多いと思う。
しかし、SIサービスを仕事とする読者ならわかることだと思うが、実際にこういった連携を既存のPOSに加えようとするシステム開発はかなり重いものとなるのだ。
セカンドファクトリーの千葉氏(タイトル写真)によると、実際このサービスは1か月程度で開発が完了したという。
タクシー配車サービスUBERを利用したことがある方であれば、あらかじめアプリにクレジットカードを登録しておくことで、「移動」に関する利便性が受けられるという体験をしたことがあるだろう。
今回の連携では、「食事」に関する利便性を受けられるのだ。
海の家ではサイフはロッカーにしまっておきたいところだが、途中でビールが飲みたい、唐揚げが食べたい、ビーチパラソルを利用したいと、お金を使いたくなるシーンは多い。
この方式であれば、スマートフォンを持っていさえすれば、サイフなしでも決済ができてしまうというのだ。
音楽フェスなどでも同じイメージで使うことができるし、他にもUBERのようにアプリにあらかじめ決済手段を紐つけておくというやり方が今後増えてくることが考えられ、実用性も高そうだ。
実際の連携イメージ

では、実際の連携イメージを見てみよう。
1. POSに個人のクレジットカードを登録する
まず、POSに海の家のカギ番号と個人のケータイ番号を紐つける
そして、クレジットカードをPOSに読み込ませ、海の家のカギの番号と、スマートフォン、クレジットカード番号を紐つける。
これで、1日限り有効なスマートフォン注文が可能となる。そして、受付用のNFC対応プレートにスマートフォンをかざすことで、POSとクレジットカードが紐つけられた固有の番号を登録する画面が表示されるので、入力を行う。
これで、スマートフォンのブラウザから注文とPOS・クレジットカードとの連携が可能となる準備ができた。
2. 注文する
海の家のゴザ席で、何か食べたいなと思ったら、通常は厨房の方に行きメニューを見て現金購入するところだが、今回の仕組みではその必要がない。
テーブルに張り付けられた、スマートプレートに対して、NFC対応のスマートフォンをかざすことで、注文サイトが自動的に起動するのだ。
スマートプレートにはICチップが搭載されているのみなので、電源を取る必要なく、屋外でのソリューションにも全く問題なく使えるところがうれしい。
実際に起動したスマートフォンの画面は下の通りだ。
左上のメニューから、注文したいものを選び、注文を行う。
今回は、実際に「金時豚のからあげ」と「阿波金時豚のキーマーカレー」を注文してみた。
3. 商品を受取る
こうすることで、注文が厨房に通知され、シェフが料理を作ってくれるのだ。

注文した料理が出来上がると、スマートフォンに通知が飛ぶ。ので後は、取りに行って食べるのみだ。
ヒトの流れを解析するサービス -ユニアデックス 山平氏
取材に行った日に、八子クラウド座談会も開かれており、セカンドファクトリーの海の家で使われているその他のIoTソリューションの解説も行われた。
海の家の3カ所にカメラを設置し、境界線を通るヒトの数をカウントするという例が解説された。
画像認識を利用しているので、発展形としては性別、年齢、楽しんでいるかどうか、など様々な情報も取得可能だが、今回の設置では海の家の温度や海水を含んだ風、砂埃といった劣悪な環境での撮影や、設置場所によっては仕事をしているスタッフによってカメラの方向を変えられてしまうことがあるといった、運用してみて初めて分かった内容も開設された。
鳴門の作物を使った料理を提供するために、農作物の生育を監視するみどりクラウド セラク 持田氏
農業IoTを実践するセラクからは、農作物の生育や環境を監視するみどりクラウドの活用が紹介された。
他にも、ウィングアーク1stのMortion BoardにQOOpaから提供される売れ筋商品を可視化する施策など、様々な取り組みを見ることができる。
8月末まで営業しているということなので、様々な実験的な取り組みをみたい読者は、Sky Dream Shonan Beach Loungへ足を運んで見てほしい。
関連リンク:
・Sky Dream Shonan Beach Loung
・株式会社セカンドファクトリー
・株式会社アクアビットスパイラルズ
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。