来年2020年春以降、携帯電話各社が順次5Gサービスを開始することは周知の通りだが、基地局が全国に配置されるまでには多額の設備投資と時間がかかることが予想されており、広く普及するには一定の時間がかかると言われている。
そのため、いち早く5Gを地域で企業や自治体が活用できるよう導入が決められたのが「ローカル5G」だ。
5Gが通信事業者が全国で展開する均一な通信サーボスであるのに対して、ローカル5Gは5Gを建物内などの限られたエリアに張り巡らせて活用するもので、主に地域の企業や自治体、大学などに割り当てられる予定だ。
そのためローカル5Gを利用するには国で指定された無線局免許の取得が必要となり、総務省は、このローカル5Gの利用申請受付を本年12月24日より開始する。
通信キャリアが展開する公衆無線網の5Gではセキュリティ面や災害などで発生する通信障害のリスクが懸念されるため、導入が難しい事業においては、ローカル5Gを活用するという選択肢がある。
ローカル5Gは5Gの高速・大容量という特性を持ったまま限られた範囲内で自身で通信網を形成できることから、複数のカメラ、ロボットを自動制御・遠隔施工し省人化・作業効率化を進めるスマートファクトリーへの取組への活用や、地域の防災などへの活用などが期待されている。
[参考記事] 通信キャリア以外でも5G、「ローカル5G」とは?NECは、5Gを地域限定で利用する「ローカル5G」事業に参入し、企業や自治体向けにネットワークインフラからアプリケーションまでのトータルソリューションとしてサービス提供を開始すると発表した。
また、同社は5Gの商用サービスを見据えて、SA(Stand Alone)型5Gコアネットワーク(以下、5GC)を開発し、5G・ローカル5Gを導入する企業向けに提供を開始した。
同社は5G時代のセキュリティ確保の観点から、5GCを採用した通信事業者に対しては、一定条件下でソースコードを開示しセキュリティ面での透明性を確保するとしている。
同サービスでは、ネットワーク構築にかかるコスト削減やモバイルネットワーク運用を支援するため、オンプレミス型に加えてクラウド型(パブリッククラウド上でNECが5GCを運用し、サービスとして事業者へ提供する方法)を用意している。

5GCは3GPP標準(※)に基づいて、ネットワーク制御(C-Plane)とユーザデータ処理(U-Plane)を分離するCUPSに対応しているため、ネットワーク制御をクラウドに集約することが可能となるとしている。
また、クラウド型はローカル5Gなどの専用ネットワークが必要なエリアへの専用設備の配置が不要となるため、導入・運用時のコストを軽減することが期待されている。
同社は2020年度以降にNECグループの工場へローカル5Gの導入を目指すとしている。
※3GPP(Third Generation Partnership Project):3G、4Gとそれに対応するLTE、5Gの仕様の検討・作成を行う標準化プロジェクトのこと。3GPP基準は3つの検討グループ(それぞれ、1,端末と基地局館の仕様を規定、2,サービスとそれを実現するアーキテクチャを規定、3,端末とコアネットワーク間の仕様を規定するグループ)によって検討・作成された標準仕様のこと。
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