ピクシーダストテクノロジーズ株式会社、前田建設工業株式会社、アクセンチュア株式会社の3社は、建設現場の撮影に360度撮影可能なデジタルカメラを使用して建設中の現場を動画撮影した後、その後の動画とBIM(建設情報モデリング)を重ね合わせたデータ上で対象物を測距した静止画を切り出す新技術を活用した、配筋検査システムの開発と構築を行った。
従来、施工管理では、現場の「工事記録」は静止画を何枚も撮影し、事務所で選定する必要があった。しかし、この新技術の導入により、記録写真の撮影方法が改革され、業務方法の抜本的な見直しが可能となり、業務負荷の軽減が期待できる。
これまでピクシーダストテクノロジーズは、協業パートナーと共に「KOTOWARI」という空間開発プラットフォームを開発してきた。今回開発した配筋検査システムも、「KOTOWARI」をベースにしている。
技術のポイントとしては、360度動画とBIMの座標を揃える技術を駆使し、現場の床等に出した基準墨に沿ってマークを設置すること、仮想のスケールを配置し、画面上で任意の位置での目視検査を可能にすること、短時間のレクチャーで誰でも撮影できることなどが挙げられている。
配筋検査を対象にした現場試験では、通常の撮影時間に比べて80%の労力を削減することが確認された。
また、この新技術により、360度動画とBIMの重ね合わせにより、鉄筋の本数や位置が適切かどうか、鉄筋のかぶり厚さがしっかりと確保されているかどうかを確認できる。
一方、工事管理の現行制度では、工事記録における工事写真は現場で撮影した静止画でなければならず、360度動画から静止画を切り出すという同技術の採用には、撮影方法の解釈がフィルムカメラ時代から変わっていないという課題がある。
そのためピクシーダストテクノロジーズは、この「撮影方法」の解釈見直しがあれば、同技術を工事記録方法として活用可能であると考えているとのことだ。撮影機材は民生品をベースとし、ソフトウェアの外販も検討しているという。
さらに、建築基準法第7条が見直され、「目視による」条項が見直されることで、中間検査・完了検査における検査員受け入れの負荷低減となると考している。
なお同社は、2024年4月を目指し、全国展開を前田建設の社内で進めていく。
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