2016年12月14日ー16日、東京ビッグサイトで年次イベントWorld of IoT が開催された。今年はセンサ、FHEとsmart manufacturingといった三つのテクノロジー・エリアがあり、そこに集中して取材した。
FHEは「フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス」の略で、プリンテッドエレクトロニクス技術(によるフレキシブルなサブストレート)と既存の半導体やMEMS (Micro Electro Mechanical Systems)技術などの組み合わせにより、システムを構成する技術で、曲がる回路としても知られている。
今回、FHE技術をメインに出展していたのは、東洋紡、JSRとSCREENという企業だった。東洋紡の「cocomi」という機能性素材は、おなじみの医療、スポーツや作業者管理の用途以外、競走馬の心拍数測定用腹帯カバーに採用されている。これについて顧客ニーズに応えながら、普段思いつかない用途が増加していると感じた。
また、様々な分野向けのFHE印刷技術を持っている株式会社SCREENホールディングスは今回、グラビアオフセット印刷技術の量産性用設備を公開し、同技術の有機EL照明への応用例を紹介した。
JSR株式会社は、「Materials Innovation x IoT」を掲げ、FHEの回路基板となる新素材を出展していた。
そのFHEの様々な耐久試験を行う装置を2-3年前から開発を進めたユアサシステム機器株式会社は当展示会で卓上型耐久試験機を始め、恒温恒湿器内耐久試験システムや自立型耐久試験機を紹介していた。

米国のNovacentrixはFHEに使われている高温度に弱い回路基板に影響のないフォトニック・キュアリング(photonic curing technology)技術を紹介し、Pulse Forgeフォトニック・キュアリング装置で数秒しかかからないマット紙をつかった回路基板上で銅回路基板のキュアリング実験を展示していた。

ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は、マルチスペクトルイメージセンサを参考展示していた。
同センサはカラーフィルタに表面プラズマ共鳴を利用し、外付け工学フィルタが不要で、多波長画像を1ショットで取得できるということだ。
アプリケーション分野として農業、ヘルスケア、産業、写真質向上、偽造検出や食品質管理という分野が想定されている中、すでにアメリカの大規模農地で使われているということだ。
同センサをドローンに搭載し、波長センシングで正規化植物指数を検知し、ビデオ画像で元気な部分は近赤外線の反射率が高いため、赤く表示され、元気でない部分は青く表示されることで、対応が必要な敷地が特定できる。
同じブースで手の形を認識している、いわゆるジェスチャー認識センサで車内操作(オーディオの消したり、再生始めたり)技術を紹介していた。この技術は現在BWM 7シリーズに採用されているということだ。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。