少子高齢化や人口減少の影響により、中山間地域では地域インフラの管理問題が深刻化している。ある中山間地域に於いては、農業用水が貯水槽から給水槽へ自動でポンプで汲み上げられ利用されている。しかし、何らかのトラブルが発生した際、利用者は水槽が枯渇するまで 気付くことができない状況にあった。
水槽の水位低下時には警告ブザーが鳴るが、貯水槽、給水槽ともに民家から離れていることや、各水槽が急な斜面に面していることから、特に高齢者が確認するには困難な状況が続いていた。そのような状況で、少ない負担で水槽の状況を確認できる仕組みが求められていた。
合同会社Office asoTと高知工科大学、株式会社シティネットは、LPWAを利用した水位通知システムを共同開発し、実証実験を行った。
同実証実験では、IoT技術と従来よりも低い周波数帯のLPWAを用いて各水槽の水位を常時監視し、離れた場所でも渇水の危険がある時にはリアルタイムで通知するサービスの検証を行った。
同サービスは、LPWAにより給水槽や貯水槽に設置した水位センサーのデータを地域の生産者の圃場に設置した受信機まで送信できる。受信機は生産者が圃場で利用するインターネット回線にも繋がれており、水位の状況をLINEやメールで知らせる仕組みである。ソーラーパネルとバッテリー、水位センサーを組み合わせたLPWA送信機を製作し、電源のない給水槽でも水位データが送信可能だ。
また、各水槽からの通信は3GやLTE回線を使わない構成をとっているため通信費が不要となる。特に電波の回折性に優れた429MHz帯のLPWAを用いることで、消費電力を抑えつつ長距離通信での安定性を確保したという。電源供給が困難な場所において、梅雨の時期など曇天が続く場合も長期稼働できる点や、渇水間近になるとLINEやメールで通知されることで水位の状況に合わせた対応が行えるようになった点など、利用者にとっての負担を軽減する。
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