協調制御AIのメリット
クラウドロボティクス・プラットフォームで提供されるツールの中でも協調制御AIは特徴的だ。Rapyuta RoboticsはALICAと呼ばれるシンボリックAIを使用しており、ALICAはインプットされた作業量に応じて、稼働可能なロボットを何台あてるかを自動計算することができる。
また、例えば2台のロボットが作業にあたっていたが、1台が故障してしまったというトラブルが発生しても、ALICAが故障を認識してくれる。その結果、2台で作業するプランが1台で作業するプランに自動的に切り替わるという。
森氏によれば、「ロボットを利用していると、どうしてもトラブルが発生してしまう」という。しかし、トラブルがあるたびにシステム全体が動かなくなってしまっては、物流現場におけるロボットの導入はリスクが高い。
その点、ALICAは複数台のロボットを協調制御してくれるため、トラブルがあってもロボットは作業を継続できる。
このような「協調制御する仕組みが物流現場では有効だ」と森氏は語った。
AMRにより向上するピッキング効率
同社はクラウドロボティクス・プラットフォームだけでなくAMR(自律移動ロボ)の開発も行っている。これはRapyuta Roboticsがユーザーに対して、このプラットフォームを使って何ができるかを理解してもらうためのアプローチでもあるという。
なお、現在、試作品の段階のためバージョンアップしたものが商用化される予定だ。

ユーザーはAMR(自律移動ロボ)を既存のリソース(人・物)やプロセスを変えることなく導入できる。
では、AMR(自律移動ロボ)は、実際の現場でどのように動くのだろうか。森氏より、稼働プロセスが説明された。
- AMR(自律移動ロボ)がピッキングする商品の前で待機する
- 作業員がピッキングをし、AMR(自律移動ロボ)の商品ケースへ投入する。
- AMR(自律移動ロボ)備え付けのタブレットが次にピッキングする商品とその場所を表示する。
- ピッキングされた商品を積んだAMR(自律移動ロボ)が、集荷場まで荷物を届ける。
- 集荷場の作業員がAMR(自律移動ロボ)の商品ケースから商品を取り出す。
- 集荷場の作業員が完了ボタンを押すと、1へもどる
マネージャーがロボットの所在や行き先を確認するマネジメントツールも用意されている。
他には、ユーザーがAMR(自律移動ロボ)の台数や作業員の数を入力することで1時間あたりどれくらいの生産性が確保できるのか、というシミュレーションを行うツールも提供されている。
森氏によれば、あるデータでは作業員は労働時間の半分弱を歩行等の価値を生まない時間に費やしており、AMR(自律移動ロボ)を導入することで、作業員がピッキングした商品を集荷場まで持っていく必要がなくなるため、生産性が向上するという。
つまりAMR(自律移動ロボ)は歩行という価値を生まない作業にかかる時間を低減するソリューションだ。
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現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。特にロジスティクスに興味あり。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。