株式会社ビジョナリーホールディングスの子会社である株式会社エンハンラボは、過去40年間のアイケアのリソースをベースとし、「視覚拡張」をキーコンセプトに、技術革新を通じて新たな市場の開拓を目指し商品企画を進めてきたメガネ型ウェアラブル端末「b.g.(ビージー)」の量産デザインを発表した。


なお、2016年12月発表時の最新プロトタイプはこちら。
商品の特長
「見え方」「かけ心地」を追求
「両眼視設計」
「b.g.」は左右に2つのディスプレイを搭載し、ノンシースルー型の高解像度ディスプレイを採用。「見え方のクオリティ」を追求した結果、両眼視を前提とした設計となっている。また同時に「眼への負担」を考慮しており、長時間の作業や着用でも眼を疲れにくくさせる。
「ディスプレイ位置の可変性」
人それぞれ異なる「瞳」の位置を考慮し、左右のディスプレイ位置の可変性を追求することで、常に最適な見え方を提供する。
またディスプレイ位置は上下に可動。この機構により「使用シーンに応じてディスプレイの表示位置を変えたい」というニーズに対応可能になっている。
なおディスプレイを見る必要がないシーンにおいては、ディスプレイ部を上方に持ち上げることで視界から外すことができるようになっている。
両眼視実現に必要なディスプレイ部の固定感と、見え方を追求するための可変性の両立を図る構造が「b.g.」の大きな特長だ。
「重量負荷の分散」
両眼視を前提とした商品設計によりディスプレイ部は顔の中心部に位置している。その結果左右の重量バランスを保ち、装着したデバイスがどちらか片方に傾くことがないデザインとなっている。
また「見え方」と「かけ心地」を両立させるフレーム設計を採用。メガネの聖地である福井県鯖江のメガネづくりの技術を活用、ベータチタン素材を用い頭部を包み込むようなフォルムにすることでフロント部に集中しがちな重量の負荷分散を図っている。
着用感を重視し、着用時の前後・左右バランスを追及したことで、快適な掛け心地を実現する。
「オーバーグラス型の商品設計/要視力矯正者が利用可能」
「b.g.」は視力矯正が必要なユーザーが快適につけられることを重視している。今回のデザインでは、メガネを装用した状態でその上からかけられる「オーバーグラスタイプ」のフレーム設計を採用した。
メガネをかけた状態でも窮屈になることなく装用可能なサイジングとすることで、従来のデバイスには実現しえなかったメガネ着用状態の装用感を実現している。
シンプルな構成による入力デバイスの拡張性
HDMIで入力された情報を表示
ディスプレイ部分からつながっているHDMIケーブルを通じて外部デバイスと連携。高解像度のデータを無線環境に左右されることなく、リアルタイムにディスプレイに情報表示が可能だ。
また給電はUSBケーブルを通じモバイルバッテリーを活用する構成で、既存のバッテリーと接続可能にすることで用途に応じたバッテリー製品の選定が可能になる。
接続するメインのデバイスはスマートフォンやRaspberry Piといったモバイルデバイスを想定。表示ディスプレイ以外の機能については既に他のデバイスが保有している機能(Wi-FiやBluetoothといった通信、カメラ、その他アプリケーション)によって利用が可能になる。
「b.g.」では専用の開発環境を設けるという概念を持たずに既存のアプリケーション開発環境を使用可能とすることで、あらゆる領域でのソリューション化を図る上で、開発企業の参入障壁を低くすることを狙いとしているのだという。
防水への対応
屋外での使用を想定し、防水機構を採用(IP65準拠予定)
これまでの事業活動において数多く要望があった屋外利用を想定した防水へのニーズに対応。両眼視実現のためディスプレイ部の可変性は生かしながらも、デバイス中心部には防水設計を取り入れている。
先行商品の納入/実証実験を通じたソリューション化と市場創出
今後の展開について、ウェアラブルEXPO(2018年1月17~19日)以降に量産プロセスを進行させるという。
またメガネ型ウェアラブル端末の活用方法は、アプリケーションや入力端末、ビジネスプロセスのあり方などの組み合わせにより、業界ごとに様々な可能性があり、BtoB各事業領域において企業との実証実験を進行、それと並行してソリューション開発を外部パートナーと連携して進行させるという。
そのため量産に先駆けて2018年2月から先行商品を企業向けに納入するとしている。
活用が期待される分野としては、医療では手術や診療で高解像度の情報をハンズフリーで表示することへのニーズが多くあることが確認されている。
インバウンド領域においては、日本の伝統的コンテンツを外国人が楽しめるよう、翻訳機能など鑑賞をサポートする利用が見込まれている。
製造業においては労働力不足や承継者不足を背景とする生産性確保に対し、IoT技術や各種アプリケーション連動により、トレーニングへの活用やウェアラブルを活用した業務プロセス変革が見込まれる。
また今後更なる普及が期待されるドローンについては操縦時の利便性をサポートするための連携可能性も大きいという。
その他昨年までの事業活動を通じて既に強い導入意欲が見込まれている倉庫・物流センターなどの物流領域に加え、その他(教育、エンタテインメント、農業など)、あらゆる領域での実証実験を通じて、引き続きBtoB領域におけるハンズフリーの実現を通じた生産性の向上を図るための方法を特定し、商品展開を図る業種・業態を拡大していく計画だとしている。


【関連リンク】
・ビジョナリーホールディングス(VISIONARYHOLDINGS)
・メガネスーパー(MEGANESUPER)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。