スマートウォッチやスマートグラスなどのウェアラブルデバイスは、ヘルスケアやエンターテイメントなど、コンシューマー向けに開発された製品に馴染みがある方も多いかと思うが、一方で、工場などの作業で使う用途としても役立っている。
ウェアラブルデバイスだからこそのメリットとはなんのか、事例を紹介しながら見ていきたい。
100%ハンズフリー
これはRealWearが提供しているヘルメットに装着して使うウェアラブルデバイスだ。
現場作業を行なっている作業員は両手を使いながら作業を行う。そのため説明書やタブレットなどを持って作業することは難しい。
そこでこのデバイスをヘルメットに装着することで、映し出される7インチサイズの画面を見ながら、遠隔地にいる熟練者とテレビ電話をして作業をしたり、必要なデキュメントの閲覧、作業の記録などができる。
カメラも搭載されているため、現場の状況を遠隔地にいる熟練者に見てもらいながらのテレビ電話が可能。
操作は音声で行えるため、手をふさがれることがない。
新人を教育する際のトレーニングデバイスとしても活用することができる。
米国の会社であるRealWearだが、2019年8月よりNSWと販売代理店契約を締結し、日本での販売も開始している。
作業の流れを止めずに必要な情報を得られるため、大幅な作業効率が期待できる。
スマートウォッチで作業員の健康管理
これはオプテージが提供している、作業員の健康管理のためにスマートウォッチを活用するという事例だ。
近年の日本の気候は猛暑が多く、熱中症の発見件数が増加傾向にある。
特に高温作業が多い製造業や屋外作業の建設業では、熱中症の危険が高く、作業員の体調管理が急務となっている。
そこでオプテージは、周囲の温湿度情報から暑さ指数を推定し、作業員のバイタル情報と合わせて熱中症リスクを判定できる「みまもりWatch」を開発した。
スマートフォンではなくウェアラブルトラッカーを活用する利点としては、情報漏洩のリスク低減、貸与管理の軽減といった点だ。また、通信コストがかからない LoRaWanを利用することでコストの削減を行なっている。
スーツ型ウェアラブル
これは日立製鉄所とドイツ人工知能研究センターが共同で開発したスーツ型のウェアラブルデバイスだ。
作業者の負荷軽減、危険防止のために作業内容の把握をする必要があるが、従来の方法では固定カメラの設置で行なっており、カメラに映る限定的な範囲での検証しかできていなかった。
そこで日立とドイツ人工知能研究所センターは、作業者の負荷がどこにあるのかをより細かく把握するため、30箇所を超える関節部位の動作をセンサーで計測し、AIにより計測データを分析するスーツ型ウェアラブルデバイスを開発した。
また、あらかじめ登録しておいた模範作業の動作データと、実際の作業者の動作データを自動比較することで、作業者の負荷がかかっている箇所を分かりやすく提示することができる。
体全体の動きを把握することができるため、作業員の健康管理や作業教育への活用はもちろん、スポーツやエンターテイメント分野への応用も検討されているという。
このように、工場や建設現場といった、作業を行う人へのウェアラブルデバイス活用が盛んになっている。
作業現場というのは屋内外、高所、暑い・寒い場所、など様々な環境であるからこそ、作業効率を測ったり、作業員の健康の確保を行うためにテクノロジーを取り入れるべきところだと考えられる。
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