日本国内では、2020年施行の改正金融商品取引法による「セキュリティトークン(※1)」(以下、ST)規制、2022年施行予定の改正資金決済法による「ステーブルコイン(※2)」(以下、SC)規制と、デジタルアセット市場の基礎が着々と整備され、既に400億円に迫る規模のST関連案件が組成されている。
こうした動きに呼応し、三菱UFJ信託銀行株式会社では、STを取り扱う「Progmat ST」基盤、「ユーティリティトークン(※3)」(以下、UT)を取り扱う「Progmat UT」基盤、SCを取り扱う「Progmat Coin」基盤、及び各種デジタルアセットを対象としたウォレットサービスである「Token Manager」「Token Wallet」の開発を進めてきた。
デジタルアセット市場がより本格的に拡大するうえでは、既存の伝統的な証券市場や決済市場等と比較して、圧倒的な利便性の向上が不可欠である。圧倒的な利便性を実現するためには、ネットワーク参加者同士の「共創」が鍵となる。
このほど、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行株式会社、三井住友信託銀行株式会社、株式会社三井住友フィナンシャルグループ、SBI PTSホールディングス株式会社、株式会社JPX総研、および株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(以下、NTTデータ)は、デジタルアセット全般の発行・管理基盤である「Progmat」の開発・提供と、「デジタルアセット共創コンソーシアム」(DCC)の運営を担う、合弁会社の設立に向けた共同検討を開始することについて合意した。
合弁会社では、Progmat ST、Progmat UT、Progmat Coin、Token Manager、およびToken Walletに関するプログラムや知的財産権等を三菱UFJ信託銀行から移管し、共通/中核機能開発を主体的に行う「Core Developer」としての役割を担う。
あくまでも共通/中核機能に係るプログラム開発者としての役割に徹し、各デジタルアセットや顧客に関するデータは、Progmatのネットワークに参加し各自のNode(※4)を運用する「Service Developer」企業群が分散的に管理するため、Core Developerは保有しないとのこと。なお、三菱UFJ信託銀行がService Developerの一角として取り組んできた原簿管理業務やカストディ業務は合弁会社には移管せず、他の金融機関と同様、三菱UFJ信託銀行として継続する。
また、中立性が必要な「デジタルアセット共創コンソーシアム」に関する契約等を三菱UFJ信託銀行から移管し、「DCC事務局」として業界横断的な取り纏めを行う役割を担う。現在進めている「資金決済ワーキング・グループ」等の業界横断的な議論や合意形成が必要なテーマを対象に、共同検討の企画や取り纏めを行い、必要な情報発信や提言等を継続する。
今後パートナー企業7社は、2023年9月以降の合弁会社設立を目指し、協議を進めるとしている。
※1 セキュリティトークン:ブロックチェーン(BC)等の電子情報処理組織を用いて移転することができる、有価証券等の総称(金融商品取引法における「電子記録移転有価証券表示権利等」)。
※2 ステーブルコイン:ブロックチェーン(BC)等の電子情報処理組織を用いて移転することができる、法定通貨と価値の連動等を目指す決済手段の総称(資金決済法における「電子決済手段」)。
※3 ユーティリティトークン:ブロックチェーン(BC)等の電子情報処理組織を用いて移転することができる、特定の役務提供を受ける際に必要な証憑として機能するデータの総称。
※4 Node:ブロックチェーン(BC)を用いたシステムのネットワークに直接参加しているサーバー。
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