過疎化・高齢化が進む町の交通課題
今回、バイタルリードの森山氏が説明したMaaS構想の実証実験の対象地区は、大田市にある温泉津町井田地区。人口563人のうち後期高齢者人口30.9%、年少人口割合5.0%と、市内でも特に人口減少と少子高齢化が進んでいる地域であるという。
森山氏は、温泉津町井田地区において3つの交通に関する課題があることを述べた。
日常生活における路線バスの不便さ
1つ目は日常生活における路線バスの不便さである。

森山氏によれば、温泉津町井田地区でも路線バスは走っているが、スクールバス機能を中心とした経路・時刻であるため、高齢者が買い物など、日常生活の移動手段として利用するには不便であるという。
バスの代わりに自家用車が重要な移動手段となるため免許の返納は進まないが、一方で自家用車を保有する費用の負担感は大きい、と森山氏は語った。
交通業者のドライバー不足
2つ目は交通業者のドライバー不足だ。
特に深刻なのが中山間地域のタクシー事業者。売り上げが低く、ドライバーの収入も非常に低い上に、不規則な勤務体系であるために、若者の雇用が進んでいないと、森山氏は語った。
公共交通の維持・存続にかかる財政負担
3つ目はバスなどの公共交通機関を維持・存続させるために、市の財政負担額が増加していることだ。
住民の人口減少などにより路線バスの利用者は減少し続ける一方で、市がバスの路線維持にかけている経費は年々増加し、ほとんどの路線の収支率は5%未満であると、森山氏は述べた。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。