目的を持ってデータを取得、「人」と「デジタル」の融合を図る ー内田洋行ITフェア2019レポート

デジタル化することのメリット

富士通の及川氏は、「足元で起きている製造業のテーマ」として、中国における工場の発展について述べた。発展の理由の一つに、「工場で働く作業者より設備を信頼しているから」ということがあげられた。

作業者である「人」はノウハウを覚えたら転職してしまったり、急にいなくなってしまうというリスクがある。そういったリスクは設備にはないため、スマートファクトリーにしていこうという流れがあるのだという。

そしてデータを集約して可視化できた際には、1つの工場の全体最適や生産性の向上といったことを考えるのではなく、同じ国の違う工場での比較や、グローバル展開している企業であれば、違う国の工場を比較していく。

目的を持ってデータを取り、「人」と「デジタル」の融合を図る ー内田洋行ITフェア2019レポート
世界各国の工場がデジタル上で比較することができる。

同じものを同じ台数作っている工場でも生産性が違う点に着目し、なぜそうなっているのか工場や国をまたいで比較していく。

また、国単位で設備効率やエネルギー効率、管理効率などを比較して、一番効率の良いラインを導き出し、良いものを展開させていくという考え方だ。

そして最終的には「人」が重要になってくる。一番効率の良かった具体的な工場、装置、担当者が分かれば、その担当者に連絡をして内容の把握をしていくのだという。

小泉は、「複数工場を保有している事業者は、工場によって敷地の面積や形も違うため全く同じようなラインを構築することはできない。そうした時にこのように数字だけではなくヴィジュアルとして見て比較することで、例えば「直線のラインの方が効率がいい」といったことが分析ができる」と、工場を比較することでのメリットについて語った。

溜まってきたデジタル化の実績と効果

そしてこのようなデジタル化をしていくにあたり及川氏は、まずはビジョンを明確にし、そこから今あるデータをどのように見せていくか、ないデータに関してはどのように今後投資をして作っていくのか考えるという「デザイン思考」を重要視しているという。

目的を持ってデータを取り、「人」と「デジタル」の融合を図る ー内田洋行ITフェア2019レポート
富士通 シニアエバンジェリスト 及川洋光氏

具体的なアプローチ方法の一例として、工場のKPIを作る際に工場長が見たい視点、管理者が見たい視点、現場が見たい視点といった様々な視点で見ることができることのできるツールの紹介がなされた。

さらに1つの工場の中の工場全体、ライン、装置ごとのKPIがドラッグ&ドロップで見ることができ、マトリクス表示で見ることができる。

しかしゼロからこのシステムを入れていこうとするとコストと時間がかかってしまうため、富士通に溜まっている過去の実績データから、各顧客に似ているある会社のパターンを提示し、そのKPIをベースに違うところはどこか、追加したい事項があるかということを見てもらうのだという。

まずこのような目的を洗い出さなければ具体的なソリューションにつながらないと及川氏は言う。

どこを見てどのように改善したかというデータが溜まってき出している中、それを形にしてツール化していけるフェーズに入ってきたと語った。

次ページは、「デジタル化していく中での「人」に着目する

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