CES2018で感じた、コンシューマー向けIoTの課題と5Gへの期待

2015年のプレショー・キーノートでSamsungがIoT時代の幕開けを宣言してから早いもので3年が経った。

あらゆるものが繋がっていく、そして繋げていく、Samsungだけでなく、様々な企業がIoT時代に対する意気込みを語っていた。

そして年々、コンシューマーデバイスのIoT化は進みつつあるが、未だそれぞれが繋がり合う時代にはなっていない。

このコネクタビリティ課題が解決されないまま、CES2018での主役は自動車、そしてスマートシティになった。人も車も街や社会と繋がらなくてはならない、それらを自動車会社が中心となり繋げていくというものであった。

まさに繋がり合ってこそ、その真価を発揮するのがIoTである。

5GとeSIMへの期待

5Gへの期待は大きい。

大量のデバイスの収容、大容量・高速通信、低遅延、これら3つが5Gの大きな魅力である。

コンシューマーIoTの拡大は、1人が複数の通信デバイスを保有する状況が想定され、大量のデバイス(回線)を収容できる5Gが求められる。

今回のCES2018でもいくつかの対応製品が展示されていたeSIMによって、デバイスのモバイル通信対応がさらに容易となり、アクティブな回線は人口数以上となった後も増え続けていくだろう。

eSIMはEmbedded SIMのことで、SIMカードを使わずにモバイル通信ができるものだ。SIMカード交換が不要なことはもちろん、小さなチップ型が主流のため、超小型デバイスにも搭載でき、これまでのSIMのように形状に影響を及ぼすこともなくなり自由なデザインでハードを設計することが可能だ。

そのため、スマートウォッチも、靴も、ヘッドホンも、カバンやお財布、万歩計等も、eSIMによって、現在の形状を維持したまま、“自立したモバイル通信”ができるようになる。

「自立したモバイル通信」これはある意味、脱スマホ時代を示すものでもある。

何か新しいスマートデバイスを入手するたびにスマホに専用アプリをDLし、bluetooth等でスマホと接続し設定する、といったことが不要になっていく。

購入して電源を入れた瞬間に、既にクラウドに接続しているデバイスを提供できるようになる。

まさに買った瞬間に繋がっている、“コネクテッド・アプライアンス”が次々と登場する期待が膨らんでいく。

恐らくスマホとの接続、スマホでの設定が必須の間はコンシューマーIoTは一般化しないだろう。

買った瞬間に繋がって、誰でも通信を意識せずに使うことができるコンシューマーIoTデバイスが、生活者のIoT環境を変えていくはずだ。

eSIMが一般化することへの課題

ただし、コンシューマー向けのeSIMデバイスには大きな課題がある。

昨年秋に登場した国内初のコンシューマー向けeSIM対応製品であるAppleWatchは月額300~500円の通信プランで提供されている。

しかし、この金額では通信会社は殆ど利益が出ていないことが推察される。場合によっては赤字の可能性すらあるだろう。

なぜなら現状の通信サービスは携帯電話やスマートフォン等のハンドセットでの利用を前提に設計されており、数千円の通信料金で回線を提供し利益が出る仕組みになっている。

つまり、ネットワークや顧客管理システムの構築や運用は、数百円のeSIMの提供を想定した設計になっていない。

LTEの設備やシステムのままでは、スマホほどの収益が得られないことは明白なため、キャリアの積極的なeSIM推進は期待できないだろう。

コンシューマーIoTの推進を考えた時、eSIM搭載デバイスを入手する際に、ハードの購入とは別に通信契約をするような仕組みは普及の大きなハードルなる。

前述のようなコネクテッド・アプライアンスはハード代金に一定期間の通信料を包含し、ハードの入手と同時に通信が利用可能になっているものが理想だ。

このような提供方法を実現するためには一定量のデータ通信を含む200円~300円/月程度の料金プランが、キャリアのビジネスとしても成立する形で提供されることが望ましい。

大量収容、高速、低遅延、さらには用途別に最適化が可能なネットワークスライシング等、通信スペック的には魅力的である5Gにおいて、このコスト構造は解決されるのだろうか。

米国での5Gの展開

CES2018でのQualcomm・百度・Verizonのキーノートの中で、2018年中にアメリカで5Gを開始するというコメントがあったように、アメリカの2大キャリアであるAT&T、Verizonともに2018年中に5Gの提供を予定している模様だ。

日本より先に5Gを開始するであろうアメリカにおいて、コンシューマーIoTの課題である通信サービスのコスト構造に関して、イノベーションが起こるのか否か、来年のCESも踏まえ注目したい。

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