無線システムにおいてローカル5Gを活用すれば、無線回線の逼迫や干渉の影響を受けづらいといった通信の安定性におけるメリットがある。
しかし、設備構築および保守環境の整備のコストや無線免許取得に関連する煩雑な対応が障壁となり、ローカル5G市場の拡大は想定よりも遅れているのが実情だ。
こうした中、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、株式会社NTTドコモのキャリア通信に用いられる設備(以下、キャリア通信設備)を活用した「ローカル5G サービス TypeD」の申し込み受け付けを、2025年3月25日より開始すると発表した。
今回発表された「ローカル5G サービス TypeD」は、2025年2月より提供が開始された、ドコモのネットワーク設備を活用したローカル5G通信事業を営む企業向けに、ローカル5Gのインフラ提供と運用を支援する「ローカル5Gトータルサポート」を活用して提供される。
従来のローカル5Gサービスでは、設備のほとんどを拠点内に設置する必要があったが、「ローカル5G サービス TypeD」では、ドコモのキャリア通信設備を活用し、ローカル5Gネットワークを構築することができる。
敷地内に設置する設備はRU(無線装置)とアンテナのみで、従来よりも設置スペースを9割程度削減できるという。また、ラックの設置や配線などの必要もない。

交換機やCU(データ処理部)、DU(無線信号処理部)、UPF(U-planeデータ処理装置)などの設備は、ドコモのキャリア通信設備と共用されており、キャリアレベルの冗長性を実現している。無線周波数を冗長させたネットワーク構築も可能だ。
また、ローカル5G設備の監視保守は、ドコモの作業者がキャリア通信設備と合わせて行うほか、ドコモの全国各地にある保守拠点から、全国への駆け付け保守が可能とのことだ。

なお、同サービスは、NTT ComのVPNサービス「Arcstar Universal one(以下、UNO)および、インターコネクトサービス「Flexible Inter connect(以下、FIC)」と組み合わせて提供される。
そのため、データセンタへの接続や、要望に応じて各種クラウドサービスやインターネットへの接続を行うことも可能だ。これら全体の構成検討から構築までを、NTT Comが一括で行う。

免許取得に関しても、通常は無線免許の取得や総務省への届け出が必要であるが、同サービスにおける無線の免許人はNTT Comのため、無線免許の取得やサービスにかかる総務省への届け出の対応をする必要はない。
今後は、IoT利用を後押しするべく、UNOやFICに加え「docomo MEC」や「docomo business RINK」などのネットワークサービスとの連携を進めるとのことだ。
また、同サービスと組み合わせて、ロボットの遠隔操作や高精細カメラによる映像伝送、AIを活用した画像認識などのソリューションの提供を行う計画だ。
さらに、自社ソリューションと合わせて同サービスをエンドユーザに提供する顧客へ向けたサービスの提供についても検討するとしている。
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