SORACOM Discovery2021二日目に行われた「社会を変えるIoT ー今こそアイディアを形にー」のセッションでは、ビジネスアイディアをIoTの技術で形にした事例として、株式会社ウェザーニューズが提供するIoT気象センサー「ソラテナ2」と、ヤマト運輸株式会社とハローライト株式会社が提供しているIoT電球を使った見守りサービス「あんしんハローライトプラン」の2つのサービスについて、それぞれのサービスが形になった経緯、ビジネスモデルや要素技術、プロジェクトの進め方、パートナーリングといった観点にスポットを当てたトークが行われた。
前編はこちら:IoT機器でアイデアを形に、ウェザーニューズ「ソラテナ2」 ーSORACOM Discovery2021レポート
IoT機器の活用で経営資源を生かしたサービス展開を行う、「あんしんハローライトプラン」
ヤマト運輸「あんしんハローライトプラン」のセッションでは、ヤマト運輸株式会社 多摩主管支店 営業担当 マネージャー 川野 智之氏(写真中央)、ハローライト株式会社 代表取締役 鳥居 暁氏(写真右)、引き続きモデレーターとして二神氏が登壇した。
ヤマト運輸は東京都の多摩市、千葉県松戸市、神奈川県藤沢市において「くらしのサポートサービス ネコサポ」という事業を展開している。ネコサポは地域にコミュニティ拠点を構え、宅配サービスだけでなく、買い物のサポートや家事のサポートなどの生活関連サービスを提供している。独居高齢者の増加や地域のコミュニティの希薄化といった社会課題に取り組んでいく中で、見守りの人材不足、高齢化の解決のため、「あんしんハローライトプラン」の提供に至ったという。
「あんしんハローライトプラン」は、自宅に設置したIoT電球「ハローライト」が24時間点灯がない、または点灯し続けている等の異常を検知した際に親族などの連絡先へ通知を行い、連絡を受けた利用者が駆け付けることが難しい場合にヤマト運輸のサービスセンターへ訪問依頼を出すことでヤマト運輸のスタッフが代理で訪問するというサービスだ。
プランで使用されているIoT電球「ハローライト」は2015年に開発がスタートするも、ネットワークがネックとなっていた。その中でソラコムと提携しSIMとLED電球の一体化に成功、2018年12月に発売された。
ハローライトの見守りの特徴として、単体で通信まで行えるため工事などが不要で、電球を交換するだけで設置が完了するという点が挙げられる。
またハローライトは見守りだけでなく、防犯への活用も検討されている。倉庫やビニールハウスなどのWi-Fiや電源などが取れない場所でも電気のソケットがあれば取り付けることができるため、人が侵入したという検知を受け取ることができる。
プロジェクトの進め方について、川野氏は「元々ネコサポで地域社会へのサービス提供を行っていたため、新しいことに取り組みやすかったというのがある。また、家に訪問するという顧客に近い場所でサービスを提供していたことから、ハローライトとの出会いもあって、より自社の経営資源を生かしていけるように進めていった」と述べた。
また、鳥居氏はハローライトの開発に至った経緯について、「元々IoT電球に近いものを別の目的で作っていたが、うまく進まなかった。日常の不便なことを大事にしていこうと話していく中で、身近な人から見守りのため電話をするのも大変だという話を聞き、見守りを行うIoT電球の開発に至った」と述べた。
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