特集「DX KEYWORD TEST」では、DXで必須となるキーワードに関するテストを実施。
さらに、4枚の図を使って、サクッと解説します。今回のキーワードは「ブロックチェーン」。全問正解目指してがんばってください!
解説編
ここからは、DX KEYWORD TESTの設問を図解していきます。
管理者不在でも管理を可能とするブロックチェーン

ブロックチェーンは、ビットコインなどの暗号通貨の技術として有名ですが、実は様々なことに活用できる「信用」にとってかわる仕組みです。
「暗号通貨!?怪しい…」と感じる人もいるかもしれませんが、そもそもお金とはなんなのでしょうか。
お札の素材は紙ですし、硬貨の素材は銅や銀、アルミニウムなどです。
つまり、素材そのものに価値を感じて製品やサービスと交換しているわけではなく、大勢の人が「お金」という価値あるものだと認識しているから成り立っています。
最近では、クレジットカードやQRコード決済などのキャッシュレスが浸透し始めています。
「お金」という目に見えるモノを介していないため、利用者からすると、残高表示の書き換えだけしか目には見えませんが、多くの人が利用しています。
その信用は、「国や企業が責任を持って運営しているから」という、多くの人が信頼している第三者によって作り出されています。
こうした多くの人から信頼された第三者が管理することを、「中央集権型」と呼びます。
一方ビットコインをはじめとする多くの暗号通貨では、こうした第三者となる特定の企業や組織などは存在しません。
暗号通貨を活用するみんなでチェックをして、管理をしていく「分散型」の手法をとっています。
そして、インターネット上において、皆で確認をして管理していくために必要な技術や仕組みが、ブロックチェーンなのです。
データをブロックに整理してチェーン状につないでいく仕組み

ブロックチェーンとはその名の通り、データを「ブロック」に整理して、「チェーン」のようにつないで管理していく仕組みです。
具体的には、インターネット上で行われたやりとりの取引データを、複数のコンピューターで共有し、ある一定のデータを一塊のブロックに整理していきます。
そして、そのブロックを時系列で繋げて、チェーン状にして管理していくため「ブロックチェーン」と呼ばれています。
基本的にブロックチェーンはオープンで、これまでの取引データは誰でも見ることができます。
ある取引が行われると、ブロックにデータを書き込む必要がありますが、ブロックにデータを書き込むためには、特定のルールに従ったネットワーク全体の承認が必要です。
そのため、嘘をついたり、過去のブロックを書き換え(改ざん)したりしようとするならば、チェーンに繋がっているブロック全ての辻褄が合うように書き換える必要があり、改ざんや不正が極めて起こりにくいと言われています。
また、ひとつのコンピューターがダウンしたとしても、複数のコンピューターで全く同じブロックチェーンを共有しているため、取引データがなくなることなく、継続して取引を行うことができます。
つまり、ブロックチェーンを管理する人の数が増え、特定の団体などに偏りがない多様なネットワークに管理されればされるほど、安全性が増していく構造になっています。
信用を個人や企業といったものに置くのではなく、仕組みによって担保しようとする取り組みで活用されているのが「ブロックチェーン」なのです。
万能ではない性質を理解して適切に活用する

ブロックチェーンは革新的な仕組みである一方、安全性や公平性が完璧に保たれた仕組みではありません。
前章では、多数の人が参加し、管理することで安全性が増すと説明しましたが、その代わりに取引の量が増えてしまいます。
そうすると、処理が確定するまでに時間がかかったり、早く処理してもらうための手数料が高額になったりするという課題があります。
反対に、取引のスピードを上げるため、単一あるいは複数の管理者を置き、管理者に承認された人のみが、ブロックに整理する作業や、ブロックチェーン内の取引履歴を見ることができるようにしているブロックチェーンもあります。
この場合、取引の速度は早く、手数料不要もしくは低いコストで抑えられるというメリットがある一方、分散型という特徴が弱まり、中央集権寄りの仕組みになってしまうという懸念もあります。
このように、ブロックチェーンは取引処理能力や分散型、取引の透明性やプライバシーなど、様々な事柄を両立できないトレードオフの関係にあり、全てを網羅することができません。
つまり、必要な技術を適切に組み合わせて、目的に応じたブロックチェーンを構築する必要があります。
目的に応じたブロックチェーンは、暗号通貨の技術として活用されるだけでなく、食品や物流のトレーサビリティ(追跡)、治療履歴や電力取引の履歴管理など、さまざまなシーンでの活用が期待されています。
不動産仲介に発生する手間や人的ミスをなくす「Propy」

通常、不動産の売買は、売り手と買い手の間に、仲介してくれる業者を通して行われます。
そのため、手数料がかかるうえ、書類で管理する手間や時間、取引における人的ミスがおこる可能性も少なくありません。
特に国境を超えて取引を行おうとすると、国ごとに土地取引の仕組みや慣習が違うので大変です。
さらに、不動産の売買には国際的な標準がないため、簡単には取引できないのが実情です。
そこで、シリコンバレーに拠点を置くPropy Inc.は、ブロックチェーンを活用することで、仲介業者がいなくても不動産売買が行えるマーケットプレイス「Propy(プロッピー)」を提供しています。
「Propy」では、インターネットから物件を探して、気に入った物件があったらエージェントを指定して購入を申し込みます。
ここまではブロックチェーンを活用していない不動産販売サイトと同じですが、普通であれば、ここからさまざまな手続きや書類の提出などを行う必要があります。
「Propy」の場合は、インターネットでのやりとりのみで、売買契約が自動的に生成され、その契約はブロックチェーンに記録されます。
そして買い手が支払いを済ませると、ブロックチェーンのアドレスが記載された、正式に登録済みの権利証書を受け取ることができます。
この記録は、自治体およびブロックチェーン上で保管され、買い手は所有権の決定的な証拠を持つことができます。
ブロックチェーンを活用することで、安全かつ簡単な不動産の売買を可能としている事例です。
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