STが汎用マイクロプロセッサ「STM32MP23」を発表、AI/ML・高温対応で産業IoTを支援

STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は、新しい汎用マイクロプロセッサ「STM32MP23」シリーズを、マス・マーケット向けに提供開始したことを発表した。

同シリーズは、最高125℃までの動作温度範囲と、デュアルArm Cortex-A35コアによる処理性能、さらにAIアクセラレータや高度なグラフィックス機能を統合し、要求の厳しい産業用アプリケーションやIoTエッジコンピューティング、機械学習機器に適したソリューションだ。

「STM32MP23」は、2024年に発表された「STM32MP25」に続く製品ラインナップとして位置づけられる。最大1.5GHzで動作するデュアルArm Cortex-A35コアに加え、リアルタイム処理や低消費電力タスクに適した最大400MHz動作のArm Cortex-M33コアを搭載している。

さらに、0.6 TOPS(Tera Operations Per Second)の性能を持つニューラル・ネットワーク・アクセラレータ(以下、NPU)を集積し、エッジ環境での効率的なAI/ML処理を可能にする。

グラフィックス性能も強化されており、3Dグラフィックス・プロセッサ・ユニットは、OpenGLやOpenCL、Vulkanなどのオープンソース・フレームワークをサポートしている。

H.264ハードウェアデコーダは最大1080p60の動画再生に対応し、MIPI CSI-2カメラ・インタフェース(4レーン、1Gbps/レーン)も備え、高度なビジュアル処理やリッチなHMIを実現する。

ネットワーク機能としては、産業用イーサネット規格であるTSN(Time-Sensitive Networking)に対応したギガビット・イーサネットMACを2ポート搭載。さらに、車載ネットワークや産業オートメーションで広く利用されるCAN-FDインターフェースも2つ備えている。

活用シーンとしては、スマートファクトリーやスマートシティ、スマートホーム環境におけるセンシング、データ処理、データハンドリングなどが挙げられている。

特に、搭載されたNPUにより、直感的で適応性の高いHMI、カメラを用いた視覚インタラクション、予知保全といった機能の実装を支援する。

開発エコシステムの面でも強化が図られており、STが提供するLinuxディストリビューション「OpenSTLinux」のサポート期間が、従来の2年から5年へと延長された。

また、STによるOpenSTLinuxのメインライン対応へのコミットメントにより、開発者はYocto Project、Buildroot、OpenWRT、OpenSTDroidといった業界標準のフレームワークを利用することができる。

さらに、「STM32MP23」は3種類のBGAパッケージ「TFBGA361」「TFBGA428」「LFBGA466」で提供され、0.5mmまたは0.8mmピッチから選択可能だ。

0.8mmピッチのパッケージは、コスト効率の高い4層プリント基板(メッキ・スルーホール)での実装に対応しており、基板設計の簡素化とコスト削減に寄与する。

なお、3つのパッケージはすべて、既存の「STM32MP25」シリーズとピン配置互換性があり、産業機器向けの温度範囲である-40℃~125℃で動作するとのことだ。

「STM32MP23」シリーズは現在量産中で、STおよび正規販売代理店から入手可能だ。大量購入時の参考価格は約8.46ドルからとなっている。

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