インダストリー4.0におけるスマートファクトリー化に向けた製造現場のデジタル変革は、競争力向上の手段として製造業の課題となっている。
また、凸版印刷が包材を納入している食品・飲料・化学業界においても、製品の安全性への意識の高まりから、異常発生時に早期に原因や影響範囲を把握するため、製品の製造履歴データ管理(トレーサビリティ)の重要性が増している。加えて、長年の課題である製造現場の生産性向上に向け、デジタルデータを活用することが求められている。
凸版印刷株式会社は、2019年4月より提供している製造DX支援ソリューション「NAVINECT」の更なる拡大を狙い、凸版印刷が企業に包材と合わせて提供している充填機・包装機に標準搭載可能な製造支援DXソリューションパッケージを開発し、提供を開始した。
同サービスは社内の装置製造知見を元に充填包装工程での品質向上のための追加センシング、装置メーカーと連携したデータ収集の標準化を行い、充填機・包装機へ標準機能として搭載している。
これにより、従来よりも導入コストを抑え、「充填/包装ライン全体の情報監視・参照」「製品毎の製造・検査情報トレース」「充填/包装機の制御」が装置導入と同時に可能となり、食品・飲料・化学業界の現場改善を支援する。なお、同サービスを搭載する充填・包装機は、四国化工機株式会社、大森機械工業株式会社、株式会社トッパンテクノが製造している。
同サービスには、製造現場(エッジ)で稼働して監視・制御などの直接的な効果を狙うものと、クラウドで稼働して中・長期的なデータの管理/分析といった間接的な効果を狙うものがある。
エッジパッケージの提供機能
- 稼働状態監視
- 異常予兆監視
- 製造履歴参照(トレーサビリティ)
- 誤投入防止制御
生産設備の稼働情報を遠隔でリアルタイムモニタリングができ、異常の早期検知、早期対応が可能。またコロナ禍でのリモートワークに有用で、設備稼働状況やエラー内容、生産予定に対する進捗状況のモニタリングもできる。
各種センサーデータの推移をリアルタイムで監視し、予め設定した条件から異常傾向を自動検知でき、現場のオペレーターに通知することができる。これにより、品質及び設備異常への早期対応や、未然防止につなげる。センサーおよび異常検知の条件は、凸版印刷のノウハウを元に初期搭載されており、導入後即利用可能だという。
各種センサー情報、稼働/アラーム情報の時系列データ参照、および製品毎の製造履歴情報(トレーサビリティ)の参照が可能だ。これにより、検索機能や装置停止要因の解析、品質異常発生時の波及範囲検索ができ、原因特定の確度UP・高速化へ寄与する。
投入資材、使用金型治具のセット位置を使用前に照合することで、選定間違いや設置ミスを防止する。異常時には標準搭載されているインターフェースを通じて、装置が異常状態のまま運転を開始することを抑止するインターロック機能を提供することにより、不良品発生を防止する。
クラウドパッケージの提供機能
充填機の付帯機能として、装置に標準搭載されたIoT機能を活用した装置データの中・長期的な変化の見える化/集計機能を「MIoTASU」として提供する。充填機のデータをLTE/3Gモバイルデータ通信による安全な通信でクラウドサーバー上に蓄積する。
これまで培ってきた充填機の運用ノウハウを元に装置の保全活動に役立つ形へと整理・集約した5画面100項目以上の情報が、事務所や外出先など場所を問わず閲覧可能である。なお、MIoTASUは2021年2月に大関株式会社へ導入を予定している。
同サービスの1ライン導入時の価格は、エッジパッケージでは初期構築費が700万円~、サービス購入価格が34.5万円~/1機能となっており、クラウドパッケージでは初期構築費が260万円~、月額利用料が3.5万円~となっている。
今後凸版印刷は、NAVINECTおよびNAVINCTクラウドを製造業中心にさまざまな企業に対して拡販し、2021年度までに関連事業含め約150億円の売上を目指すとしている。
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