文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)事業は、2021年度より開始され、全国各地に整備し蓄積してきたナノテクノロジープラットフォームの優良な研究基盤および新たに導入する最先端・ハイスループットの設備を活用し、産学官の多様な利用者からの先端設備の共同利用を可能とする環境や、高品質なデータの創出が可能なデータ共用基盤の整備を実施している。
また、蓄積された高品質で膨大なデータ群を利活用可能なデータセットへと構造化し、特定の条件の下、進展の著しいAIを活用したマテリアルズ・インフォマティクスや研究設備の自動化・ロボティクス等のデータ駆動型研究、データ活用型研究に供していく。
同活動にあたり、データを省人的、かつ効率的に蓄積するためには日本全国の広域にわたる各機関の共用設備機器のネットワーク化が必要となる。一方で、各機関からは「OSのアップデートが出来ず、ネットワーク化に困っている」、「機器やネットワーク全てを更新するには大きなコストや手間がかかる」、「内部からの脅威拡散などセキュリティ面の不安がある」といった機関特有、または機器固有の課題があった。
東芝インフラシステムズ株式会社は、同社のIoTセキュリティソリューション「CYTHEMIS」がARIM事業において、全国25の大学・研究機関で導入・活用されることになったと発表した。
CYTHEMISは、OSのアップデートやセキュリティソフトのインストールが出来ない等、セキュリティ対策を取りにくいPCや機器をサイバー攻撃から守りつつ、通信させたい先までのセキュアなネットワーク化を実現する小型のハードウェアデバイスと、それを管理するシステムのパッケージソリューションである。
外付けのエンドポイントソリューションであるため、OSの種類やバージョンに依存せず、セキュリティソフト等がインストール出来ない古い仕様・規格に基づく機器・装置にも適用可能で、様々な環境下で導入可能だ。ハードウェアデバイスは、デバイス間の相互認証やホワイトリスト機能を有するため、不正アクセスやマルウェア感染の可能性を削減しつつ、ネットワーク化することができる。
管理システムは、ハードウェアデバイスのリモート設定に加えて、ハードウェアデバイスが検知したセキュリティ異常を収集し、可視化することができるため、早めの対応を取ることができる。また、ハードウェアデバイスを一元管理し、リモートアップデートも可能なため、ネットワーク化を安心して進めることができる。
情報セキュアなネットワーク環境を構築することで、各大学・研究機関の先端共用設備から創出される高品質なマテリアルデータを、物質・材料研究機構が整備するデータ基盤へより安全・効率的・継続的に蓄積を行うことが可能となった。これによりマテリアルデータのデータ創出から、データ統合・管理、そしてデータ利活用まで、一気通貫したマテリアル研究を推進するマテリアルDXプラットフォーム構想(※)を支援する。
※ マテリアルDX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォーム構想:政府の「マテリアル革新力強化戦略」(令和3年4月統合イノベーション戦略推進会議決定)で織り込まれたマテリアルの研究開発力を大幅に強化する、我が国全体で高品質なマテリアルデータが持続的かつ効果的に創出、共用化、蓄積、流通、利活用される産学官のプラットフォームの事業構想。
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