特集「DX KEYWORD TEST」では、DXで必須となるキーワードに関するテストを実施。
さらに、4枚の図を使って、サクッと解説します。今回のキーワードは「サブスクリプション」。全問正解目指してがんばってください!
解説編
ここからは、DX KEYWORD TESTの設問を図解していきます。
定額制とサブスクリプションはどう違う?

通常、製品やサービスを買うと、購入した人が所有することになります。
その一方で、サブスクリプションは、月や年単位で料金を支払って、その間だけ利用することができるという購買形態です。
特に、最近では音楽や動画コンテンツなど、形のないサービスが増え、サブスクリプションでの購買が増えています。
皆さんも、一度はサブスクリプションサービスを利用したことがあるのではないでしょうか。
私たちにとって身近になっているサブスクリプションは、単に「定額制」と捉えられがちですが、意味合いは少し異なります。
これまでの定額制サービスは、「CDやビデオの借り放題」というように、単純にモノを一定期間だけ所有できるというものでした。
一方で、SpotifyやNetflixのような、インターネットによってコンテンツが配信されているサービスの場合は、定額制と同じく「一定期間聴き・見放題」という価値以外にも、ユーザーの好みのデータがたまることで、ユーザーごとにオススメのコンテンツをピックアップするといったことや、サービスのアップデートを頻繁にインターネット経由で行うことができます。
これにより、ユーザーは、自分に合った最新のサービスを受けることができます。
また、サービスの提供者からしても、「売ったら終わり」ではなく、ユーザーとの接点が途切れないため、一人一人に対して、さまざまなアプローチを継続して実行することができます。
同じ製品でも価値が変わるモノのサブスクリプション

モノを一定期間所有することができる定額制サービスと、形のないサービスのサブスクリプションの違いを説明しましたが、「モノを提供するサブスクリプション」も登場しています。
モノのサブスクリプションの例には、洋服やお菓子、おもちゃなどがあります。
利用方法は、スマートフォンやパソコンから商品を選ぶか、おまかせして頼むことで、自宅まで製品を届けてくれるというものです。
スマートフォンやパソコンを活用しない定額制サービスの場合には、製品が置いてある場所まで足を運んで選ぶか、定額制に申し込んでいる人たち全員が同じおすすめ製品を受け取ることしかできませんでした。
サブスクリプションの場合は、好みを知るためのアンケートや、利用履歴がデータとして残るため、ひとりひとりに合ったおすすめの製品を提示してくれます。
モノのサブスクリプションにおいても、ユーザーとの継続的な関係性が重要になるということです。
サブスクリプションの登場により、「所有する」というモノ売りから、必要なモノを必要な時に必要な分だけ利用することができる「状態を提供する」コト売りへと変化してきています。
また、モノのサブスクリプションには、形のないサービスにおけるサブスクリプションにはない「物流」という重要な要素が追加されます。
物理的にモノを送ったり返送してもらったりという工程が発生するので、いかに効率的な物流網を築くかが重要となります。
IoTにおけるサブスクリプション

さらに、モノがインターネットにつながっているIoTサービスのサブスクリプションとなると、さらに複雑になってきます。
IoTサービスの場合には、モノ(機器)とモノで活用されるソフトウェアに加え、モノから得られたデータを分析するサーバーや、これらをつなぐ通信などが関わってくるからです。
これらをパッケージにして提供している企業もあれば、単体、あるいは組み合わせることができるサービスを提供している企業もあります。
具体的なIoTサービスを例に、どのような形態で提供されているのかをみてみましょう。
見守りや防犯に活用するIoT電球「HelloLight」
見守りや防犯に活用するIoT電球「HelloLight」は、電球本体にSIMが内蔵されていて、電球本体から通信、電源のオン・オフを通知するクラウドサービスの全てをパッケージにして、サブスクリプションで提供しています。
電球本体を購入して、クラウドサービスのみをサブスクリプションにすることもできますが、複数購入したい自治体や企業などにとっては、電球本体も含めて全てをサブスクリプションにすることで、初期費用を抑えることができます。
家族型ロボットの「LAVOT」
家族型ロボットの「LAVOT」では、本体は購入型で、その本体の修理やメンテナンス、ソフトウェアのアップデートをサブスクリプションで提供しています。
本体を長く使い続けることを前提に、アフターフォローにサブスクリプションを活用しているケースです。
IoT通信のソラコム
株式会社ソラコムは、IoT製品で活用される通信をサブスクリプションで提供しています。
IoT製品は、365日、24時間つながらなくても良いケースが多くあります。
また、送信されるデータ量も少ないものが多く、必要な時に、必要な分だけ利用したいというニーズがあります。
そこでソラコムは、利用した月だけに基本料金を請求するサブスクリプションに加え、通信した分だけを支払う従量課金を組み合わせたサービスを提供しています。
また、モノが国をまたいだ場合には、その国で最適な通信に切り替えてくれるサービスを展開するなど、IoT製品やサービスに最適な通信形態を提供しています。
ちなみに、IoT電球「HelloLight」も、ソラコムのSIMを活用することで、全てをパッケージにしたサブスクリプションを実現しています。
このように、サブスクリプションという料金形態を活用することで、サービスを提供する側は考えることややることが増えますが、新しい価値を提供し、事業を成長させることができます。
「香り」の趣味趣向データを活用したサブスクリプション

通常、香水の容量は30ml〜100ml程度で、30mlのものでも、半年ほどは毎日使うことができる程度の容量です。
そのため、好きな香りが決まっていない人からすると、「使い切れるか心配」「色々と試してみたいけどできない」といった悩みがありました。
また、香水は目に見えるものではないため、ECなどのオンラインで買うには適していない製品でした。
香水を提供するブランドにとっても、店舗だけの販売の場合、購買に関するデータや顧客の趣味嗜好、購入した後の顧客の行動などを知ることは難しいのが実情でした。
そこでHigh Linkは、4mlに小分けされた1〜3種類の香水を、サブスクリプションで月に一回配送する「カラリア」を提供しています。
利用者は気になっていた香水を自分で選ぶこともできますが、Web上でいくつかの質問に答えることで好みの香りやおすすめの香水を提案してくれる「香水診断」や、フレグランスアドバイザーにLINEで相談しながら、おすすめの香りを教えてもらうこともできます。
「香水診断」では、High Linkが運用する香りの専門メディア「カラリアマガジン」や各SNSの閲覧データ、「カラリア」での購買データなどを活用した独自のアルゴリズムにより、香水の提案をしています。
加えて、実際に利用した香りを利用者が評価したり口コミを書いたりすることで、AIが好みの香りを分析する「フレグランスプロフィール」機能もあります。
これにより、評価にもとづくおすすめの香水や、まだ使っていないけど好きかもしれない香りを提案してくれます。
利用者は評価や口コミを書けば書くほどおすすめの精度が上がるため、多くの口コミが集まるそうです。
また、「カラリア」に参加している香水ブランドにとっても、新しい顧客と出合うことができたり、購買行動データと口コミによる分析結果を得たりと、これまでにはなかったメリットを得ることができます。
さらにHigh Linkは、保有しているデータを活かして、ブランドに対するマーケティングや商品開発の支援を行うなど、新たなサービスの展開にもつなげています。
今後は、カラリアでのデータと、実際の店舗でのデータを連携しながら、新しい価値の提供を目指していくそうです。
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