日本のタクシー・サービス文化と自動運転技術の融合
「Robocar Walk」に続いて発表されたのは、7社合同による空港リムジンバスと自動運転タクシーを連携させた都市交通インフラ実証実験についてである。
まずZMP・谷口氏が登壇し、実証実験に至った背景とサービス全体の構想について説明を行った。
谷口氏によれば、そもそもの発端は2013年に姫路駅~香呂駅間で行った自動走行タクシー走行構想だという。その際に谷口氏が感じたのは、タクシー会社の廃業、路線バスの廃線といった公共交通網の疲弊だ。
こうした公共交通の問題を解消する一環としてZMPが日の丸交通と取り組んだのが、2018年8月に行った大手町~六本木間の自動タクシーサービスである。
これによりタクシー・ドライバー不足への対応や、ドライバーの重労働からの解放といった効果を狙うという。
ZMP・谷口氏は「日本のタクシー・サービス文化は世界各国と比較しても清潔で安全という、極めてハイレベルなものだ。これを自動運転の配車管理システムと掛け合わせることで新しいサービスを生み出そうとした」と、自動タクシーサービスを振り返った。
スマートフォンで複数交通手段を一括予約
そして上記の自動タクシーサービスをさらに発展させたのが、今回の空港リムジンバスと自動運転タクシーを連携させたサービスである。

これは丸の内パークビルディングと東京シティ・エアターミナル間を自動運転タクシーで結び、エアターミナルと成田空港・羽田空港の間を走る航空リムジンバスと連動させてスマートフォンで一括予約できるというものだという。
ZMP・谷口氏はプロジェクトに参画する各社の役割についても説明を行った。まず自動運転タクシーはZMPが開発、運行については自動運転タクシーを日本交通と日の丸交通の二社が、空港リムジンバスを東京空港交通が担当する。また施設提供については三菱地所と東京シティ・エアターミナルが行う。また、宿泊施設との連動といった旅行サービス化の検討されており、そちらはJTBが進めることになっている。
谷口氏は「本サービスはインバウンドへの対応も視野に入れながら2019年内に実証実験を行い、2020年には実証の結果を踏まえてサービスをさらに発展させる予定だ。」と今後を語った。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。