IoTやAIの進展により、インターネット上のあらゆる情報がデジタル化され、スマートフォンをはじめとするUI(ユーザーインターフェース)の進化とも相まって、人々のライフスタイルや消費行動に大きな影響を与えている。
タッチするだけ、話しかけるだけというように、より簡易な操作での情報接触を実現するUIが次々と登場する中、新たなUIの形としてVHA(バーチャルヒューマンエージェント)技術が注目されている。VHAの特長は、人間らしい表情や動きを見せることで自ら会話のきっかけをつくったり、能動的な発話を交えて受け答えするなど、人間同士の対話に近いコミュニケーションを実現する点である。
株式会社電通国際情報サービスのオープンイノベーションラボ(以下、イノラボ)はクーガー株式会社と共同で、人型AIアシスタントの実証実験を京王電鉄株式会社が運営する商業施設「トリエ京王調布」で6月29日と30日に実施する。
今回イノラボは、能動的な対話を可能とするUIをメディアが備えることで、地域コミュニケーションの起点となりうる可能性に着目し、VHA技術を持つクーガーとの共同研究に至った。同実証実験はその第一弾となるもので、VHAの社会受容性を検証することを目的としている。
同実証実験では、屋外広場に設置されたデジタルサイネージに等身大の人型AIアシスタントを映し出し、表情の変化やジェスチャーを交えた能動的な対話を通じて、通りかかる人々に地域の魅力や取り組みを伝える。クーガーが開発したVHA技術を用いて、人間同士の対話に近いコミュニケーションを実現することで、人々の行動変容が促されるかを検証し、次世代UIとしての可能性を模索する。
今回デジタルサイネージに登場するVHAの人物像は「調布に詳しいおしゃべり好きなお姉さん」である。まず、待機時には動作や表情の変化で注目させ、人物を認識したら手を振ったり挨拶したりして会話のきっかけをつくる。そして自己紹介など能動的な発話を交えながら参加者と対話し調布の見どころやイベントに関するクイズを出すなど、対話をリードしながら地域の魅力や活動を伝える。最後に、参加者の行動を促すようなお願いをする。
同実証実験において、イノラボは実験のスキームから対話の場面・状況の設定、エスノグラフィー(行動観察調査)に基づくコミュニケーションフロー設計を担当する。今後は、今回の検証結果を踏まえてさらに個別ユーザーの状況や特性に応じて最適化された次世代UIの研究を進める計画だという。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。