複雑化する購買理由データを読み解いていく
続いて中村教授は、「メーカーの立場でどんなデータを収集していこうと考えているのか。」といったテーマについて聞いていった。
まずキリンホールディングス成瀬氏は、「以前はカテゴリー別で見ていたが、今後は全てのカテゴリーで見ることができ、分析もできるようになってくる」と話す。
「お酒」というカテゴリーで分析するのではなく、顧客の生活様式やライスタイルから分析をし、提案をしていくという。
「現在キリンではクラフトビールを販売しているが、なぜかクラフトビールと一緒にキャンプ用品を買っていたり、新生活用品を買っているというデータが取れ、そこから、クラフトビールはキャンプで飲まれているのではないか、新生活時に飲まれているのではないかという分析ができる」と語った。
コカ・コーラジャパンKlongnawee氏は、「消費者がどういった機会において商品を購入しているのか、インサイトを得ることによってオケージョンに対して適切なコミニュケーションを提供したい。」と話す。

Klongnawee氏はタイに赴任している際、セブンイレブンとビジネスプランを構築したという。
セブンイレブンは消費者がどういったときにどのような意思決定をしているのか、その消費者の年齢といったデータを持っており、それに沿ったプロモーション方法を考えていったのだという。
「取引ということだけでなく、どういったものを飲んでいて、誰と、どのような機会で飲んでいるのかというデータが重要だ。」と語った。
ライオン廣瀬氏は、「通過、立ち止まり、接触ちった顧客自体の購買行動をデータとして捉える。」と話す。
オーラルケアの分野で調査していると、15秒ほど立ち止まっても商品を触らない顧客が多いという。つまり接触を促すことで購買につながるのではないかと考え、そのための売り場づくりやデジタルのアプローチがあるのだという。
今後の展望として、「顧客の感情分析も重要だと考えており、脳波や脳血流のデータから、脳がどういった状態で売り場を意識し購買するのか、といったところまで解き明かしていきたい。」と語った。
TraxのClein氏は、「今後は様々なデータソースを掛け合わせて分析していく。」と話す。

現在Traxの技術を提供しているアメリカとヨーロッパのパートナーのセールスデータやPOSデータ、棚データを組み合わせてケイパビリティをさらに拡大させていきたいという。
そしてそのデータをもとに様々な国で展開していき、店舗で何が起こっているのか完璧に理解していきたいのだという。
POSデータでは何が売れて何が売れなかったのかという事実はわかっても「なぜ」の部分はわからない。
その部分にフォーカスを当てる棚データが有効だと考えているという。
そしてそこにコンシューマーデータを組み合わせ、さらに何が店舗で行われているのか、製品とコンシューマーの間で何が起こっているのか、リアルな領域でもeコマースで起こっているようなことが実現できるのではないかと考えていると語った。
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