顧客体験、データ、システムをひとつなぎにしていく
上の図は従来の飲食店での業務オペレーションだ。集客、予約、来店、メニュー出し、注文、食事の提供、会計、集客の分析という流れだ。
これは50年間ほとんど変わっていないのだが、IT化の流れを受け、手作業で行われていた業務それぞれがIT化されるようになった。
しかし問題は、それぞれのオペレーションごとにIT化されてしまい、それぞれのシステムがバラバラに情報を持っている状況になっていることだ。
バラバラになっているものを繋ごうとする流れもあるが、どこにどのように情報を集めて、どのように活用するのかを決め、実装していくということが現状では非常に難しい状態だという。
ここにIT化の行き詰まり感を感じているのだと中村氏は語る。
つまり業務というのは個別最適の中でそれぞれ合理化しているが、店舗としての全体を見たときに今の仕組みを前提にしていては全体最適していくのは難しい。
実際に経営者の声で、「システムが増えすぎてどう使ったらいいのかわからない。」「データをためたのはいいが、どのように活かしたらいいかがわからない。」という声を多く聞くという。
そのため解体し、再構築していく必要があるというのだ。
上の図は、トレタが描く新たな外食産業のアーキテクチャだ。まず中心に顧客体験をおく。そして顧客と店舗がどのような接点があるのか、顧客がどういった体験をするのかを円で表している。
この円の中で顧客は店探しから始まり、予約、来店、メニュー検討、注文、食事、支払い、評価、シェアと、ひとつなぎの体験をしていく。
それが単に右から左に流れて終わりなのではなく、最初に戻るという仕組みづくりが必要なのだという。
もうひとつ重要な視点は、この円を上と下で分け、上がオンラインで下がリアルという分け方で見てみるという点だ。上がインターネットで行われることで、下が実際の店舗で行われることだ。
従来の店舗では、オンラインで行なっていることと、実際の店舗で行なっていることがつながらず、全くの別物になっていた。顧客体験という意味ではちぐはぐなものになっている。
オンラインとオフラインをつなぎながら1つの体験として仕上げていくことが必要であり、ここで初めて現在使われている様々なITサービスがマッピングされていく。
このような円の中で、それぞれの店舗がどういった顧客体験を提供したいのか、そのためにどういったツールをどのように使うのかといったことを整理していく必要があるという。
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