凸版印刷株式会社は遠隔体験技術「IoA(Internet of Abilities)仮想テレポーテーション」を活用し、遠隔観光体験、スポーツ観戦、リモート・ワークなどの用途を想定した、遠隔地にいる人と体験を共有できるウェアラブルデバイス「IoAネック」を開発した。
IoAネックは、前面に搭載された端末から映像や様々なコンテンツの送受信が可能で、身につけた人が見たり聞いたりしたものを、遠隔地にある画面を通じて同時に体験ができるデバイスである。主な特長は以下の通り。
- 振動を使用したハプティクス(※)での指示が可能
- 場所を選ばず、人が移動可能なフィールド全てで利用可能
- 映像ハプティクスコミュニケーション
IoAネックの装着部分を、遠隔地からコントローラーを使用して特定のパターンで振動させることが可能で、振動を通じて「右を向いて」や「左を向いて」などの指示をハプティクスで実現した。これにより、身体的な制約により言葉を話せない方や、会話する言語が異なっていてもコミュニケーションを図ることが可能である。
従来、凸版印刷が提供していた分身ロボットと異なり、IoAネックは人に装着するデバイスであるため、分身ロボットでは行くことができなかった悪天候・悪路や、狭い場所、昇り降りが発生するような場所からでも、遠隔体験を実現する。また、IoAネックは首にかけるタイプのウェアラブルデバイスであり、両手が空くためIoAネック装着者の行動を制限しない。
遠隔地からIoAネックを装着している人への指示だけではなく、その逆となるIoAネック装着者から遠隔地のコントローラーへ振動を使用したハプティクスによる意思疎通が可能である。例えば「ここが注目ポイントです」「少し休憩をしたい」などの意思が、遠隔地にいる人が持つコントローラーを通じて振動で伝わる。
また、IoAネックは株式会社NTTドコモと共同で、2019年9月28日に行われる明治安田生命J1リーグ 第27節 鹿島アントラーズVS北海道コンサドーレ札幌戦で初導入され、実際にスタジアムに足を運ぶことが困難な「鹿島特別支援学校」の子供たちを遠隔地から試合へ招待する取り組みに活用される。
今後、凸版印刷はIoAネックを始めとしたIoA仮想テレポーテーションによる遠隔体験ソリューションや関連するビジュアルソリューションでの利用を進め、需要が見込まれる、スポーツや教育、観光、不動産分野への導入を進め2025年度までに関連受注含め50億円の売り上げを目指している。
なお、IoAネックの利用料金は、1台あたり月額30,000円からである。
※ 触覚を主とした利用者に力、振動、動きなどを与えることで皮膚感覚フィードバックを得るユーザーインターフェース技術。
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