製造業の業況の先行き不透明感から先送りされる設備投資 ーものづくり白書2019

日本の経済は安倍内閣の経済政策(アベノミクス)の効果が現れ、2012年11月を底に緩やかな景気回復を続けてきた。

設備投資や雇用・所得環境の改善も見られるなど経済の好循環が浸透する一方で、2018年は度重なる災害が押し下げ要因となったほか、足下での世界経済の不透明感などの懸念材料もある。

製造業の業況を、企業の全般的な業況を示す日本銀行の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)の業況判断DIで見ると、大企業の製造業は2013年半ば以降プラス圏を推移している。

2018年以降を見ると米中貿易摩擦への懸念や原材料価格の上昇などを背景に押し下がったものの、足下では横ばいとなっている。中小製造業においては、2017年半ば以降、横ばいの状況が続いている。

今後3年間の国内外の業績の見通しについては、足下での通商問題の動向や、中国経済の先行き不透明感などの影響もあり、昨年と比べると増加見通しと回答する企業の割合は減少している。

生産設備の老朽化

このような環境下において、民間企業設備投資は、2017年は前年比4.5%増と増加に転じており、2018年も同様の傾向が見られる。2017年には設備投資がリーマンショック前の水準を超え、2018年も、第4四半期(10-12 月期)では前期比+3.0%となり、投資が活発化している。

内閣府と財務省が2018年10-12月期に実施したアンケート結果を見ると、製造業の2019年度の設備投資見通しでは、「増加(10%以上)」又は「やや増加」との回答割合が、大企業で19.8%、中小企業で14.5%と、2018年度と比べ減少している。

設備投資に関しては、製造業の一部企業においては、長らく設備投資が見送られてきた結果、設備の老朽化が進んでいるという側面もあり、そうした企業では設備更新の必要性が年々高まっている。

日本機械工業連合会が2018年12月に行った生産設備保有期間に関するアンケートによると、調査を行った機械機種のうち、金属工作機械、第二次金属加工機械、鋳造装置では50〜80%近くの設備が導入してから15年以上経過している(トップ画)。

生産設備導入からの経過年数の比較

また、設備を導入してからの経過年数について、経済産業省による1994年調査、2013年調査と比較すると、二次金属加工機械、溶接機及び溶断機、レーザー加工機、自動組立装置では、15年以上経過している機器が2〜3割程度増加している。

(参考:ものづくり白書2019)

INSIGHT

生産設備の老朽化は、日本人のものを大切に長く使うという考え方もあり、難しいテーマの1つだ。

熟練した職人にとって使い慣れた設備は安心感のある道具だが、経験が浅い職人にとっては扱いが難しく生産性を下げる要因となる。

私が居た外資系企業では、内規で「40年を超える設備は使ってはいけない」というルールあったが、現実には20年程度で設備は常に入れ替えられるケースが多かった。

こうした判断は、新しい設備の方が生産性も高く、誰にでも使い易く不良が出にくいという費用対効果の考え方に基づいている。

日本企業も、そろそろ合理的な判断による老朽化設備の改廃ルールを決めるべきではないだろうか。
(IoTNEWS スマートファクトリー領域アドバイザー 鍋野)

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