「IoT」や「ICT」というキーワードは、近年よく目にする。
似ている単語なので、違いがわかりづらいところがあるが、それぞれの意味の違いを理解しているだろうか?
本記事では、IoTとICTの定義と関係性について解説する。
ITとは?
ITとは情報技術で、インフォメーション・テクノロジーの頭文字をとった単語で、コンピューターや情報処理、通信に関する総称だ。
ご存知の方も多いと思うが、ARPANET (アーパネット、Advanced Research Agency Network)という、世界ではじめて運用されたパケット通信ネットワークは、もともと軍事用だったが、1995年にWindows95が登場してインターネットが広がり始めた。
1997年に楽天、1999年にはiモードがはじまり、このころに「IT革命」という言葉が登場し、さまざまなITサービスが生まれた。
ICTとは?
ICTとは、「Information and Communication Technology」の略語で、直訳すると「情報伝達技術」となる。
IT(Information Technology)とほぼ同義であると言われている。日本ではITの方が聞き馴染みがあるが、国際的にはICTの方が普及していると言われている。
さらに、ITと異なるのは、Communicationという単語が足されているように、情報を伝達するという部分、そしてそのための技術の活用方法に着目しているという点だ。
IoTとは?
IoTとは「Internet of Things」の略語で、直訳すると「モノのインターネット」となる。現実世界の状態をデジタル空間上にコピーするのが、IoTの定義である。技術的には、ICTと変わらない。
あらゆるモノをインターネットに接続するということだ。
センサーによって様々なデータを収集し、インターネットを通じ解析・判断を行うことで、より良いフィードバックを受けることができるというものである。
ICTという大きなくくりの中に、IoTという概念が入っている。ではなぜ、違う考え方が使われているのか?
例えば、スマホの中にはさまざまなアプリが入っていて、アプリがインターネットと通信をすることで価値を生み出している。それだけだと、1個人の価値でしかないが、世界中の人がスマホを持っていて、それらを全部デジタル空間上にコピーすると、いままでとは全然違う価値が生まれる。
Uberの例が、わかりやすい。
スマートフォンのGPS機能を位置情報のセンサーと捉え、クルマと利用者の位置情報をクラウドにアップロードするという仕組みがベースとなっている。
ドライバーは、スマホのアプリを持っており、このアプリの情報により、どのクルマがどの場所にいるかという情報がデジタル上にコピーされている。利用者もアプリを持っていて、自分が今いる場所と行きたい場所を設定できるようになっている。
例えば、田中さんがA地点に行きたいと思ったら、Uberのシステムは、とあるドライバーに対して、田中さんを拾う場所と目的地のA地点を指示する。
その際、田中さんとクルマの間には交通渋滞が起きていると、「迎えにいくのに時間がかかってしまう」ということや、ドライバーの評価を元にして、「誰が田中さんを迎えに行ったらいいか」ということも先読みするのだ。
さらに、Uberには「ライドシェア」という、利用者が相乗りができるサービスがある。
相乗りする利用者は、待っている場所も目的地もそれぞれ違う場所にあるため、ドライバーは誰をどう拾って、どの順番でおろしていけば効率的なのかわからない。
そして、ライドシェアは乗客が払う費用は安くなるが、安くなるからといって、本当だったら10分で着くところを30分かけるとなると、乗客の満足度が下がってしまう。
しかし、Uberは膨大なデータを活用して、シミュレーションすることで、トラブルなく、乗客の満足度を高め、目的地まで届けることができるのだ。
現実世界をきちんと把握することがIoTの役割と言えるが、把握するだけではあまり可視化どまりとも言える。
しかし、集めたデータを活用して未来を予測することができれば、さらに大きな発展性がありえる。
総務省によるIoTとICTの関係性
それぞれの定義から、ICTとIoTの決定的な違いは、「モノが関わるかどうか」であるとも言える。「情報を伝達する」という意味では、両者同じようにも捉えることができるからだ。
では、この両者の関係性は、情報システムを管轄している総務省ではどう定義されているのだろうか。
総務省の「ICTグローバル戦略」における関係性
[参考記事]
総務省、SDGsの達成・Society 5.0の実現に向けて「ICTグローバル戦略」を公表
総務省が公表した「ICTグローバル戦略」のひとつに、「AI/IoT利活用戦略」がある。
この中では、「ICTによって、SDGsの達成やSociety5.0の実現をするためにはIoTを活用することが必要だ」とされている。
つまり、IoTを活用することで、「ヒトとヒト」や「ヒトとモノ」、「モノとモノ」の情報伝達がよりスムーズになるという考え方だ。
総務省の「情報通信白書」における関係性
さらに、総務省が発行している情報通信白書を見ると、「IoTやAIの登場によって、ICT産業がさらに発展を遂げようとしている」ことがわかる。
また、ICT産業の中でもIoTが急速に普及していることが示されている。
つまり、IoTとは、ICTの中にある概念だと捉えることができるのだ。
このように、IoTとICTは独立した関係のない単語ではない。
IoTを活用し、発展させていくことで、ICTのさらなる発展や、新たな価値の創出につながるのだ。
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