ボッシュ株式会社は、環境モニタリングとAIによる病害予測機能で構成されるハウス栽培作物向けスマート農業サービス「Plantect(プランテクト)」を2019年に韓国と中国で販売すると発表した。
Plantectは2017年8月の販売開始以来、日本国内で累計4,000台以上のセンサー等デバイスを受注しており、韓国と中国への進出によるさらなる事業の拡大を目指す。
韓国における施設園芸の面積(トンネルタイプのビニールハウスを除く)は約5万2,000ヘクタール、中国は約380万ヘクタールにのぼり、日本の施設園芸の面積約4万3,000ヘクタールと比較すると、この2か国には大きなニーズが見込めるという。
また、現在、Plantectの病害予測サービスの対象となるハウス栽培作物はトマトのみだが、2019年より順次イチゴとキュウリの病害予測サービスを開始する予定だ。
日本国内におけるイチゴのハウス栽培市場の規模は約930億円、キュウリの市場規模は約1,720億円と潜在的な可能性の大きな作物だという(いずれもボッシュの調査)。
キュウリは高い湿度を好む作物で、湿度が高いと収穫量が増えるが、病害発生のリスクも高まる。湿度が低くても、別の病気が発生するため、ハウス栽培の作物の中でも特に病害発生への注意が必要だ。
イチゴも果実の見た目に影響する病害の発生は収穫量に影響するため、病害予測サービスが収穫量の向上に貢献できると見込んでいる。現在提供しているトマト向けの予測可能な病害の種類も、灰色カビ病に加え葉カビ病への対応が本年6月より可能になったという。
今後はさらに、うどんこ病やすすかび病など予測の対象を拡大する予定で、イチゴ、キュウリに発生する病害予測についても、順次拡大させるとした。
販売開始から1年の間に寄せられたユーザーのフィードバックをもとに、Plantectのユーザーインターフェースは改良を重ねている。本年8月に実装された仕様では、気温、湿度、CO2濃度など様々な数値の表示範囲が広がり、ユーザーによる表示範囲のカスタマイズが可能になった。
また、農薬を使用した日、農薬の種類、病害発生日、シーズンごとの栽植密度や収穫開始・終了日などの作付け情報を記録できるようになった。これにより、ユーザーは環境データだけでなく、病害防除の活動についても記録、データのダウンロードができるようになった。
さらに、ユーザーから要望の多かったというアラーム通知機能も10月中に実装される予定だ。気温や湿度などが設定した値を超えると、登録されているメールアドレスにメールが送信され、Plantectのサイトにアクセスしなくても、ハウス内の環境の変化を知ることができる。
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