今知っておくべき、ロジスティクスの潮流

前回のPREMIUMでは、最近のロジスティクス業界のまとめを行なった。今回は、ロジスティクス領域にも起きている、インダストリー4.0の考え方についてだ。

インダストリー4.0というと製造業の話だと思う方も多いかもしれない。しかし、マス・カスタマイゼーションや、シェアリングサービスという流れの中、ロジスティクス領域に関してもデジタルツインをバーチャル上に展開して未来を予測することで、サプライチェーン全体を最適化することが求められている。

こういうと、なんのことかわからない、という方もいらっしゃるかもしれないが、ここから具体的な例を挙げつつ解説をしていく。

さらに、ドローンや自動運転の技術が登場し、先日発表があったヤマトの空飛ぶトラック構想などが出て来ているが、こういった自動走行技術の活用が物流の最適化をますます押しすすめることになる。

また、AIを活用した最適な配送ルートの決定アルゴリズムの進化によって、配送先の時刻変更などにもリアルタイムに応えることができるようになったり、交通状況による到着遅延に対応することができるようになるのだ。

さらに、ロジスティクスセンターにおける荷物の積み下ろしをする場所(バース)の効率化も実現可能となるのだ。これは、狭いバースにおいて本来来て欲しいトラックが来なくて、後でも良いトラックが来てしまうため、積み下ろし作業そのものが非効率になるのを防止する。

製造の現場から出来上がってくる、製品の製造状態も逐一把握できるようになると、後工程となる輸送のプロセスも無駄な待ち時間が減るという効果が見込めるのだ。

ロジスティクスセンターに目を向けると、無人化が進み、Amazonが買収したKIVAに代表されるような、棚を動かすロボットが登場することで、これまで人が通る通路が必要だったロジスティクスセンターに、通路が不要になる(収納効率が上がる)。そして、電子タグを活用した荷物の位置情報の把握はどこに、なにがあるかを明確にする。

こういった一つ一つのプロセスを最適化することができる技術の登場と発展自体は部分最適を実現するにすぎないが、バーチャル空間上でこれらの情報が一元管理される、もしくは有機的に繋がることで、製造から物流までの一連の流れを全体最適することを可能とするのだ。

物流ベンチャーのHakobuでは、全国に6万社あるといわれている、中小運送会社をオープンプラットフォーム上で結ぶ取り組みを始めている。

このプラットフォームでは、ロジスティクスの中でも輸送の部分を全体最適するソリューションなので、配送ルートの最適化やバースでの効率的な荷物の出し入れに関する課題が解決される。

興味深いのは、既存の3PL業者がこういったソリューションを作った場合、ほかの3PL業者は利用したくならないという点をクリアしているのと、この仕組みが導入されていっている背景として、大手GMSでの採用が挙げられるのだが、GMS側が対応することで、そこに荷物を納品する運送会社はこの仕組みを採用せざるを得なくなるという点だ。

また、GMSからすると、運送会社が最新のデータ管理を実現できることで、例えば他社向けの荷物の混載が可能になったり、より効率的で、時間通りの配送が可能となるため、メリットは多いと言える。

一方で、ロジスティクス倉庫の方では、最近話題になりがちなAmazonのような自動化が進んだ倉庫が増えてきている。

サプライチェーン全体を考えた時、これ以外に必要なものといえば、荷物そのものの位置や状態をトラッキングすることだろう。

現在、2020年頃には、RFタグは5円くらいになるといわれているが、今後1円を切るようなことになれば、すべての商品にタグを貼り、管理するという流れが出てくる可能性はおおいにある。

現在、パレットにタグをつけて、倉庫内の位置情報や輸送中の位置情報を捉えることまではできているが、商品単位ではない。ここが改善されるとトレーサビリティの課題は一気に解決するといえるのだ。

しかし、ウォルマートのような店舗ではタグを使わずドローンを飛ばして商品管理をするという実験も行われている。この例のように、必ずしもタグだけが一つの解決策とはならないところも注意しておく必要がある。

サプライチェーン全体の最適化が進むと、今度は、自動運転トラックを作っている会社がトラックメーカーから脱却し、MaaS企業となっていく流れが起きたり、ロジスティクスセンターで活躍するロボットを作っているメーカーが、ロボットを時間貸ししてアルバイトのように活用するという社会も到来する可能性がある。

また、Amazonのように既存プレーヤーがそのロジスティクスサービスのノウハウを外販していく流れも考えられる。

つまり、既存のロジスティクス関連企業は、新しい技術や考え方を自社のビジネスに「取り入れる」という発想では、今起きている新興企業による変化に対応していけなくなる。

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