近年、労働力不足解消や業務効率化などの生産性向上を目的に、モバイルネットワークを活用して工場の業務自動化や効率化をタイムリーに進めるクラウドロボティクス技術の開発が進められている。遠隔からのリアルタイムで高精度なロボット制御には、センサー情報や制御情報を低遅延にやりとりできるネットワークと、遅延の変動に強い制御技術が必要になる。
そこで、日本電気株式会社(以下、NEC)と株式会社NTTドコモは、LTE基地局の近くに設置した、伝送遅延の低減とセキュアなクラウド環境を実現するMEC機能を有するドコモのクラウドに、強い遅延変動耐性を持つNECの「適応遠隔制御技術」を搭載し、LTEエリアで物流自動化を実現する搬送ロボット(AGV)2台で荷物を載せた台車を挟み込んで運ぶ、遠隔制御の実証実験を行った。
「適応遠隔制御技術」とは、NECの中央研究所が開発した技術で、モバイルネットワークで生じる遅延の変動を予測し、その予測結果に基づき制御することで、搬送ロボットの制御精度を向上させる。
同実証実験では、パブリッククラウド利用かつ適応遠隔制御技術なしの場合に比べて目的地まで安定して搬送でき、搬送成功率(※)が41%から100%まで向上することを確認した。LTE網でも細かい動きの制御など高精度なロボット制御が可能となるため、これまで工場や倉庫など建屋内での利用が多かったロボティクスサービスが、建屋間や工場全域、屋外を含めた広域で実現可能であることを実証した。
Wi-Fiと比較して、1つの基地局でカバーできるエリアが広いLTEを利用するため、これまで必要だったWi-Fi設備と工事が不要で、ロボティクス導入期間を大幅に短縮できる。また、今後の5G導入により実現される低遅延ネットワークと組み合わせ、さらなる発展的なサービス提供に貢献するとした。
※目的地まで安定して正確に運ぶことができた試行を成功と定義している(試行回数15回)。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。