ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下、ルネサス)は、産業イーサネット通信用「EtherCATスレーブコントローラ」を内蔵した、RXファミリフラグシップモデル「RX72M」グループのサンプル提供を開始する。
「RX72M」は、動作周波数240MHz、1396CoreMark(※)の高性能なマイコンとして産業機器のメインアプリケーション機能を果たしつつ、EtherCAT通信も1チップで実現する。小型産業用ロボットのモータ制御や、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)、リモートI/Oや産業用ゲートウェイなどに最適化しており、システムの高性能化と部品点数の削減、装置の小型化に貢献する。
「RX72M」には、RXマイコンファミリで最大となる1MBの大容量SRAMと、4MBのフラッシュメモリが搭載されている。この大容量SRAMにより、TCP/IP、Webサーバ、ファイルシステムなどメモリ使用量の多い複数のミドルウェアも、外付けメモリなしで高速実行が可能だ。また、産業通信用のデータ交換標準規格(OPC UA)など将来の機能拡張にもメモリの追加をすることなく柔軟に対応ができる。
4MBのフラッシュメモリを2MBの2個構成で搭載することで、一方のフラッシュメモリ上でプログラムを実行しつつ、使用していないフラッシュメモリでバックグランド書き換えが可能になるなど、機器の安定な動作を可能にする。
さらに、RX72Mグループは、さらなる省スペース化に貢献するため、RXとしては初めてとなる224ピンの多ピン小型パッケージを用意した。小型の産業用ロボットでは部品を格納するスペースの制約が大きな課題になっているが、RX72Mは従来比で約50%の基板面積を削減できる。その他の特長は以下の通り。
- RXファミリで初となる倍精度FPU(浮動小数点演算ユニット)を内蔵
- 最大120MHzの読み出し動作が可能な高速フラッシュメモリ搭載により、高性能かつ性能バラツキの少ない実行環境を実現
- モータ制御用マイコンRX72Tの特長も踏襲し、専用アクセラレータとして、モータ制御の高速化に役立つ三角関数演算器(sin/cos/arctan/hypot)およびレジスタの一括退避機能を搭載し、高精度なモータ制御を実現
- 暗号鍵をハードウェアで確実に守る暗号モジュールとメモリ保護機能を搭載、機器のデッドコピーや純正機器を装ったオプションユニットの接続を防止することが可能
「RX72M」グループは、2019年9月末から量産受注を開始する。
※ 米EEMBC(Embedded Microprocessor Benchmark Consortium)がCPUコアの評価に特化したベンチマーク・テスト。データの読み出しや書き込み、整数演算、制御演算などを実行させるC言語プログラム群のこと。動作周波数当たりの性能数値は、RXファミリ用C/C++コンパイラ CC-RX V3によるスコア
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