サイバーリンク株式会社は2018年10月から、ディープラーニング技術を活用したAI顔認識ソフトウェア開発キット(以下、SDK)「FaceMe」を提供している。0.2秒以下という高速な認識速度と本人識別率98.5%という高い認識精度を持ち、角度のついた顔でも認識する広い認識範囲を、画像処理による最適化と最新のAIエンジンで実現している。
今回、このFaceMeの最新版が発表された。モバイルバンキングやセキュリティ認証などに適している「なりすまし」防止機能、データベース登録時の問題を解消する画像の品質チェックなどの新技術を搭載している。新機能と特徴の詳細は以下の通り。
- 2D Anti-Spoofingのサポート
通常のカメラを利用した環境でも、写真・動画などを使用したなりすまし行為による不正アクセスを防止する。SDKには「カメラに近づく」、「カメラから離れる」、「認証のために静止する」などの指示を出すインターフェースが含まれており、ブラウザ上で動作可能なWebサイト用モジュールや、モバイルアプリに組み込むSDK形式での機能提供ができる。モバイルバンキングなどにおける個人認証、特定人物のみ入室可能なケースにおけるドアセキュリティなど、より高いセキュリティレベルでの本人認証を求められるシステムに利用可能だ。 - サーバーエディション
社内サーバー上で動作可能なWeb APIベースの顔認証サーバー機能の提供を開始する。各種のデバイスやアプリケーションからネットワークを経由してHTTPリクエストの形式で顔認証機能を使用する事ができる。HTTP APIは、HTTP GET / POSTコマンドを呼び出すことができる任意のプログラミング言語から呼び出すことができ、サーバー構築やアプリケーション開発の工数を大幅に短縮する事が可能だ。 - 画像の品質チェック
最初にデータベース登録する写真の品質は、その後の顔認証の精度に非常に大きく影響する。FaceMeは「顔のサイズが小さすぎる」、「顔の重要な特徴が隠れている」、「照明状態が悪い」、「イメージがぼやけている」、「顔が正面を向いていない」などの悪材料となる要素をインテリジェントに解析する事により、登録後のさまざまな問題をあらかじめ回避する事ができる。 - ARM64用Debianサポート
64ビットARM上の動作において、LinuxディストリビューションのひとつであるDebianを新たにサポート。顔検出、特徴点の抽出、顔認証だけではなく、顔属性分析(年齢、性別、感情、頭の状態など)機能もサポートする。 - テスト環境を提供
顔認識エンジンの性能を評価する上で重要なテスト環境の構築に、テストアプリを提供する。アプリを使用してONVIF形式のIPカメラ、PC用のUSBカメラ、画像ファイルやビデオファイルなど、多彩なフォーマットに対応しており、実装前のエンジン評価工数を大幅に短縮する事ができる。 - クロスプラットフォームソリューションに最適化
Windows、Linux、Android、iOS用にデザインされたFaceMeは、クロスプラットフォームでの開発に適している。ドアセキュリティシステム、デジタルサイネージ、キオスク端末、POSシステム、Android/iOSベースのアプリケーションなど、さまざまなアプリケーションやソリューションを組み合わせて展開することができる。 - TrueTheater 画質向上技術による認識精度向上
サイバーリンク独自のTrueTheather技術を用いて映像の画質を向上する事で、AIで顔認識しやすい映像に前処理する。これにより、AIによる認識精度が11.65%向上した。(550Lux環境で撮影の場合)
FaceMeは、各種セキュリティソリューションの他、ホテルや病院などでのキオスク端末による無人対応や、オフィスの受付における来訪者管理、勤怠管理などと連動した入退出管理、デジタルサイネージでのターゲットに合わせたコンテンツ配信、ロボットなどへの組み込みによる接客対応など、さまざまなケースで利用できる。
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