企業のデジタルトランスフォーメーションが進む中、自動化機能は今後、生産性の向上やコストの削減、新たな機会の創出を支えることが期待されている。IoTの観点で見ると、数十億個、最終的には数兆個ものデバイスのネットワーク接続と管理が求められる時代で、現代のマニュアルプロセスで対応することは難しい。
このほど、モバイルネットワーク事業者(MNO)からの要望により、英Armは、高度な自動化エンジンを新たに搭載したIoTコネクティビティ管理ソリューション「Pelion Connectivity Management 2.0」の提供を開始する。Pelion Connectivity Managementをすでに利用しているMNOは、自社が提供するネットワークに接続された全デバイスのライフサイクルを対象に、単一プラットフォームによるシンプルな運用を通じてIoTのコネクティビティを管理している。
今回のPelion Connectivity Management 2.0のリリースにより、複数の国とさまざまなネットワークにまたがる多数のデバイスを自動的に管理することが可能となり、IoT環境の運用コスト削減やサービス品質の向上に貢献する。
Pelion Connectivity Management 2.0で採用された自動化機能の詳細は、以下の通り。
- リアルタイムのデータトリガー
物理的な世界での状況をトリガーとしたルールを作成する。 - 加入者IDモジュール(eSIM)のシームレスなリモートプロビジョニング(RSP:Remote SIM Provisioning)管理:
デバイスが国をまたいで移動する際、自動化エンジンが正確なサービス選択と設定を保証する。 - ビジネスプロセスの自動化
IoTサービスを提供するMNO向けに、IoT環境の運用コストを削減し、利益率を向上させる。
ポルトガルのMNOであるNOSはPelion Connectivity Management 2.0を活用することで、IoTコネクティビティの最新化と、ポルトガル国外の顧客に向けたサービス拡大を計画している。NOSは今後、IoTの加入者基盤全体をPelion Connectivity Management 2.0に移行する予定だ。これにより、ネットワークパフォーマンスの分析やデバイスのモニタリングを行いつつ、一定量のデータ使用や具体的なタイムラインに基づき、各種プロセスや設定を自動化できる。
こうしたMNO向けの新たな自動化機能の提供に加えて、Armは、自動化エンジンをグローバルなエンタープライズ顧客に直接提供するモバイル仮想ネットワーク事業者(MVNO)でもある。これによりArmは、エンタープライズ顧客がIoTプロジェクトをこれまでのパイロット段階から今後グローバル規模へと拡大することを支援する。
数千個を超える数のデバイスを複数の国・地域にまたがって実地導入し、異なるモバイルネットワークに接続するようなIoTアプリケーションでは、すべてのデバイスをマニュアルで直接管理することは、これまでは不可能だった。Pelion Connectivity Managementは、単一の管理画面を通じ、大規模な自動化を行うことで、こうした管理上の障壁をなくす。
今回の新たな自動化エンジン機能は、現在提供中のPelion Connectivity Management 2.0では標準搭載となっている。また、エンタープライズ顧客の一部に対しても、この機能のベータ版を提供していくとした。
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